世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、人間も食べられるクオリティのフレッシュペットフードを開発・提供するスタートアップ企業についてご紹介します。
11月1日は「犬の日」
11月1日は「犬の日」です。この記念日は、1987年に現在の一般社団法人ペットフード協会が、犬の鳴き声「ワン(1)」にちなんで制定したのだそう。犬について深く知り、愛情を持って接することを目的とした記念日で、毎年多くの企業がイベントやキャンペーンを開催しています。
ペットを家族として愛している人が増えている
そんな犬の日をきっかけに、国内のペット市場を振り返ってみると、近年、犬や猫を「家族の一員」として迎える家庭が増え、生活に欠かせない存在となっていることが分かります。
その傾向が顕著に表れているのが、ペットフード市場の拡大です。従来の固く乾いたドライフードや、水分を多く含んだウェットフードに加え、最近では「フレッシュフード」が大きな注目を集めています。
フレッシュフードとは、新鮮な食材を無添加で使用し、人間の食品と同じ製造工程で作られたペット用の食事のこと。近年、ペットと共に暮らす多くの人が、ペットの健康を守るための食事としてフレッシュフードを選ぶようになっていると言います。
世界的なマーケティングリサーチをおこなう「Business Research INSIGHTS」の調査によると、2023年の世界のフレッシュペットフード市場は7億6000万ドル(約1145億円)に達し、2032年までに27億3000万ドル(約4114億円)までに成長すると予測されています。
このように、ペットの食事に対する関心の高まりからも、ペットが多くの家庭で、生活を共にする大切なパートナーとして捉えられるようになっていることがわかります。
フレッシュフード業界をリードするバイオフィリア
こうしたフレッシュペットフード業界で、「不幸になる動物をなくしたい」という想いを原動力に、早くから事業を立ち上げ、市場をリードしてきたスタートアップ企業があります。それが、2017年8月に創業された株式会社バイオフィリアです。
同社は、犬用のフレッシュフード『ココグルメ』や猫用の『ミャオグルメ』などを開発。これらの製品は、国産の新鮮な食材を使用し、無添加で、人間の食品を扱う工場で製品されています。それにより、人間が食べても安全なほどの品質を実現できているのです。そのため、飼い主たちが安心して愛犬・愛猫に与えられるフードとして、多くの支持を集めています。
バイオフィリアは、企業が消費者に直接販売する「DtoC」と呼ばれる販売モデルを採用。自社のオンラインストアを通じて、製品を直接、消費者に届けています。これにより、ユーザーとの密接な関係を築き、フードの改良や新商品の開発に活かすことができているのだそうです。例えば、ユーザーから「食べやすくしてほしい」というフィードバックが寄せられたことを受け、食材のサイズや調理方法を改良。結果として、より多くのペットが快適に食べられるようになりました。
バイオフィリアの創業経緯とは
バイオフィリアの創業者・岩橋洸太さんは、ふたつの出来事をきっかけにペットフード事業を立ち上げました。
ひとつめは、中学生の頃にニュースを通じて見聞きした動物虐待事件です。人の手によって動物が不幸になる状況を目の当たりにした岩橋さん。「すべての動物が幸せに暮らせる社会を作りたい」と、強い信念を抱くようになったと言います。
ふたつめは、2匹の愛犬を相次いで失った経験です。「もっと良い食事を与えていれば、長生きできたかもしれない」と後悔したことから、ペットの健康に寄り添うフレッシュペットフード事業を始める決意を固めたそうです。
大学卒業後にSMBC日興証券で企業の上場支援の仕事を経験した岩橋さんは、起業に必要なスキルを身につけ、2017年にバイオフィリアを創業。いくつかの事業アイディアを経て、2019年6月よりフレッシュフード事業を本格的にスタートさせました。
ペット同伴ワークが可能なオフィスも。「すべての動物の幸せ」をめざして
2024年3月には、台湾での商品提供も開始。バイオフィリアの事業は、着実に成長・拡大を続けています。また、4月にはオフィスを移転し、室内にペット専用通路やドッグランといったペット同伴ワークが可能な環境を整備したそう。働き方の面でも、人とペットの関係性と幸福度の向上に、一石を投じようとしています。
今後は株式上場と、グローバル市場への展開を視野に入れ、日本国内だけでなく、世界中のペットとその飼い主に愛されるブランドをめざしているそう。
「すべての動物の幸せに貢献したい」という子どものころからの想いを、大人になったいま、ビジネスで実現しようとしている岩橋さん。その姿勢からは、強く、純粋な想いを持ち続けることの大切さを改めて感じることができました。
Text:Teruko Ichioka