世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、色覚異常の方のためのビューファインダー設置についてご紹介します。
バリアフリー化が進むバージニア州立公園の新たな取り組み
世界的に、さまざまな場所でバリアフリー化が進む昨今。そんな中、アメリカの「バージニア州立公園」が、新たな取り組みを開始したことで注目されています。
もともとバージニア州では、43ヶ所あるすべての州立公園で、体の不自由な方も楽しめるようバリアフリー化に努めてきました。今回、新たに取り入れられたのが「色覚異常」の方向けのバリアフリー設備です。
「色覚」とは色を感じ、見分ける力のこと。本来、人間は100万以上の色合いを見分けることができます。一方で「赤緑色覚異常」の方は、個人差はありますが、そのうちの約10%の色相と色合いしか見ることができないとされています。赤や緑を含む色が、本来の色よりくすんで見えたり色褪せて見えたりするそう。男性は12人に1人、女性は200人に1人の割合でおり、米国だけでも1,300万人いるとされています。
バージニア州立公園には、毎年800万人以上の人々が訪れ、そのうち約34万人が色覚異常の方でした。そこで、色覚異常の方も含め、より多くの人が美しい公園を楽しめるよう、色覚異常の方のためのバリアフリー設備導入に至ったと言います。
米国初、色覚異常の方のための景観ビュアー設置
2023年6月、バージニア州の州立公園のひとつ「ナチュラルトンネル州立公園」に、色覚異常を緩和するレンズを装備した特殊なビューファインダーが設置されました。これにより、赤緑色覚異常の方がより広範囲の色を視覚化しやすくなり、鮮やかではっきりとした色を体験できるようになったのだそうです。
Today we unveiled Virginia’s first @enchroma #colorblind viewfinder at #NaturalTunnelStatePark! Four people with color blindness got the first looks through the viewfinder and saw the landscape in full color for the first time! Check out their reactions. 👀 #enchroma #southwestva pic.twitter.com/wPkw8WjzP5
— Virginia State Parks (@VAStateParks) June 28, 2023
ビューファインダーの設置は、「バージニア州を訪れる人々の、アウトドア体験の向上」を目的とした取り組みのひとつ。その後も各公園に設置され、2024年8月にはすべての州立公園で利用できるようになりました。米国の公園では初めての取り組みだとして、注目を集めています。
また、ビューファインダーの購入資金の集め方も独特で、「Round-Up for Parks Program」というユニークなプログラムを活用しているのだそう。このプログラムは、公園や、公園のWebサイトで何かを買った際の購入金額のうち「端数で切り上げた差額」を、購入者の判断で寄付できる、という仕組みです。バージニア州立公園では2018年の導入以来、約30万ドルが寄付されており、ビューファインダーの設置や活動資金に使用されています。
ビューファインダーを利用した人々の声
Proud to announce that Virginia State Parks has become the 1st park system in the nation to install @enchroma-adapted viewfinders for colorblind guests at every park. 🌈 Check out reactions of colorblind guests at Pocahontas State Park. 😍
Press release: https://t.co/qE05p2tFIs pic.twitter.com/dNfLbnIXiP
— Virginia State Parks (@VAStateParks) July 30, 2024
バージニア州は、すべての州立公園にビューファインダーが設置されたことを記念して、色覚異常のゲストを6名、公園に招待。園内の美しい景色を体感してもらいました。ゲストたちは、「赤色の違いがはっきりとわかる」、「より鮮明に見えて、緑色もバリエーションがある。本当にクールで、ワクワクする」など、驚きながら景色を楽しんだそうです。
より詳しい感想を知りたい方は、バージニア州自然保護レクリエーション局のブログも覗いてみてください。色覚異常の方には、景色がどのように見えているのかが分かる写真も掲載されており、さまざまな気づきを得られるでしょう。
誰もが美しい景色を楽しめるように
色覚異常の方のアウトドア体験向上を目的にアメリカで設置された、特殊なビューファインダー。四季がある日本もまた、季節の移ろいにあわせて、自然も色鮮やかに変化していきます。紅葉シーズンでもあるこれからの時期は、山々が色づき各地の名所も賑わっていくでしょう。このような美しい景色を誰もが体感できるように、日本でも色覚異常の方に優しい仕組みづくりが進むことを願いたいですね。
Reference:
EnChroma-adapted viewfinders have been installed at all Virginia State Parks|Virginia Department of Conservation and Recreation
Accessibility in your parks\|Virginia Department of Conservation and Recreation
Virginia State Parks Installs specialist Scenic Viewers for colourblind guests|GLOBETRENDER
Round-up Donations Add Up to Big Support|National Park Service
Text:Yuki Tsuruda