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生成AIでゲーム開発が進化する!『東京ゲームショウ2024』で出会った革新的なAIテクノロジー【Steenz Breaking News】

生成AIでゲーム開発が進化する!『東京ゲームショウ2024』で出会った革新的なAIテクノロジー【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、先週に引き続き、『東京ゲームショウ2024』で見つけた、ゲーム開発を支える新技術についてご紹介します。

『東京ゲームショウ2024』で新設された「AIテクノロジーパビリオン」

今話題のゲームタイトルやゲームにまつわる最新技術、関連ビジネスなど、ゲーム業界のトレンドがギュッと詰め込まれた『東京ゲームショウ(以下、TGS)』。

筆者はイベント初日の9月26日に、会場である幕張メッセを訪れました。今年初めて設置された「AIテクノロジーパビリオン」を取材したところ、生成AIを活用したふたつの興味深いサービスを発見! それぞれどのようなものなのか、ご紹介したいと思います。

AIでストーリーのおもしろさを解析する『STORYAI』

まずは、株式会社ジールが提供する、生成AIと機械学習を活用して「ストーリーのおもしろさ」を、解析・数値化する『STORYAI』。ゲーム開発の現場において、例えばRPGのシナリオを客観的に検証し、さらにおもしろい内容へと磨き上げたい場合などに使えるといいます。

開発者によると、着想のきっかけは、2016年にバーモント大学が発表した「世界中の物語は6つのパターンに集約される」という研究成果だったそう。物語の“型”があるのなら、機械学習を使って物語を分析し、客観的に評価できるのではないか……。そう考えたことから、『STORYAI』を構想したといいます。

このサービスに、小説やシナリオを読み込ませると、その物語が“世界標準の型”からどれくらい離れているのか(あるいは近しいのか)、そして人の感情をどれほど動かせそうなのかを、グラフで直感的に把握することができます。その結果をもとに、シナリオをあえて王道に近づけることもできますし、逆に“型”から外して、意外性のある物語へと作り込むことも可能になります。これまでは人間の感覚に頼りがちだった「シナリオを練る作業」を、制作者がより客観的におこない、明確な意図を持って物語を設計できるようになるのです。

さらに、登場人物のキャラクターや背景の設定も、生成AIで自動化できるといいます。例えば「世界を救うヒーロー」といった大まかな方向性を入力すると、ハリウッド方式のキャラクター設定理論に基づき、AIが細かな設定を提案してくれるそうです。

物語のコンセプトづくりから、おもしろさの検証までを担える『STORYAI』。「JRPG」というジャンルができあがるほど独自の進化を遂げた日本のRPGが、さらなる発展を遂げるきっかけのひとつとなるかもしれません。

AIでゲーム開発の多様な業務を効率化する『ai and』

「AIテクノロジーパビリオン」では、生成AIを活用した業務効率化ツールも出展されていました。

中でも筆者が注目したのが、株式会社ドリコムが提供するゲーム開発支援ツール『ai and』です。シナリオ作成や翻訳、開発担当者間での情報共有、カスタマーサポート、システムの不具合チェックといった、ゲーム開発に付随する膨大な業務を、生成AIが代替・支援してくれます。

例えば、ドリコムの社内では『ai and』を使い、プログラムの修正後に欠陥を調べる「デグレードチェック」の業務を、およそ9割も自動化することに成功したそうです。これによって、よりクリエイティブな領域で人間が力を発揮できる基盤が整えられたそうです。

『ai and』の開発担当者によれば、国内のゲーム市場には、「モバイルゲームを中心とした市場の縮小」「開発現場の人手不足」「一作品にかかるコスト増大」という、3つの大きな課題が発生しているそう。これらの課題を解決するには、現場の業務をできる限り効率化するしかありません。そこで開発に至ったのが、『ai and』だったそうです。当初は社内向けに立ち上げられたこのシステムは、今秋から本格的にリリースされる予定です。

取材の最後に、担当者は「生成AIは、ゲーム制作の現場を大きく変える可能性が高い。人がよりクリエイティブな仕事に挑戦できる未来が待っているかもしれない」と、生成AIがゲーム開発の現場に与えるインパクトについて語ってくれました。

テクノロジーで進化するゲーム業界

『東京ゲームショウ2024』を取材することで見えてきた、ゲームづくりに新たな風を吹き込む新技術。ゲーム開発の現場は、他業界のトレンドと同様に、多様な業務でますます自動化が進みそうです。

こうした新しい技術をもとに、人間が「ゲームをよりおもしろくする作業」にもっと時間を割けるようになれば、これまで以上に、もっともっと魅力的な作品が生まれる可能性も。これからも、業界の動向から目が離せそうにありません。

TextTeruko Ichioka

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Teruko Ichioka

ライター・編集

フリーライター。好奇心の強さは誰にも負けない平成生まれ。得意領域もスタートアップ、ビジネス、アイドルと振れ幅が広い。

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