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平和やSDGsをテーマにした学生映画祭『国際平和映像祭(UFPFF)2024』レポート【Steenz Breaking News】

平和やSDGsをテーマにした学生映画祭『国際平和映像祭(UFPFF)2024』レポート【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は世界の学生による、平和をテーマにした映画祭『国際平和映像祭(UFPFF)2024』について、ご紹介します。

国際平和映像祭(UFPFF)とは

 

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「国際平和映像祭(UFPFF)」は、毎年9月21日、国連が「平和の実現とアクションを呼びかける日」として定めた「ピースデー」にあわせて開催されている映画祭です。世界中の学生を対象に、平和やSDGsをテーマにした5分以内の映像作品を応募を募り、その上映および受賞作品の発表がおこなわれます。14回目の開催を迎えた今年は、「NPO法人PEACE DAY」との共催イベントとして開催されました。

今回は、2024年9月16日に東京・渋谷の「ヒューマントラストシネマ渋谷」で開催された「UFPFF2024」にて、筆者が実際に参加した様子を、レポートしていきます。

ピースデーにまつわるトークや上映など多彩なプログラム

会場に到着すると、受付時間前にも関わらず、すでに老若男女問わず多くの来場者が列をなしており、オープンとともに続々と会場に入っていきました。

会場では、世界の学生たちから集まった作品の上映や表彰以外にも、多くの関連プログラムが展開されています。

まず第1部では「PEACE DAY オープニングトーク」と題し、「国際平和映像祭」代表理事の関根健次さん、イラン出身の俳優・タレントのサヘル・ローズさん、「NPO法人PEACE DAY」代表理事の井上高志さん、「国際平和映画祭」顧問の谷崎テトラさんの4名によるトークセッションがおこなわれました。

トークセッションの内容は、ピースデーの成り立ちをはじめ、日本から平和をどう考えるか、そしてそれぞれの平和への想いなどが語られました。特に、暴力と報復、憎しみの連鎖を止めるため、「人を許すこと」というキーワードについて訴えかけるサヘル・ローズさんのメッセージは、会場の人々の心に深く届いている様子でした。

トークセッション後は、サヘル・ローズさんの初監督作となる『花束』も上映されました。児童養護施設出身の若者たちが参加し、「表現」に挑んだ4年間を記録したドキュメンタリー映画で、上映後はキャストによるアフタートークもおこなわれました。

第2部では、特別招待作品の上映や、地球一周の船旅などをプロデュースするNGO「ピースボート」共同代表の畠山澄子さんと、デザイン・コンサルティング会社「asobot inc.」代表の伊藤剛さんによる、「どうしたら平和を実現できるのか」を考察するピースデートークなど、盛りだくさんの内容でした。

海外から監督が来日した作品も!ファイナリスト9作品や気になる受賞結果は?

 

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トークイベント後は、いよいよ今年のファイナリストの作品上映と、受賞結果の発表です。世界55か国からエントリーがあった280作品のうち、ファイナリストにノミネートされた9作品が、会場のスクリーンで上映されました。

グランプリ作品は『9月21日』(ラーマン・ブルハニ監督/イラン)

グランプリに輝いたのは、ラーマン・ブルハニ監督(アフヴァーズ開発高等学校/イラン)による『9月21日』。学校を舞台に、戦争が子どもたちにもたらす多くの悲劇や夢に与える影響について描いた作品です。国連について言及した点などが高く評価されました。

準グランプリ作品は『セカンドハンド』(マルト・E・ケマル監督/トルコ)

準グランプリは、監督をマルト・E・ケマル氏、プロデュースをスレイマン・クリッチ氏(両人ともハチ・ベイラム・ヴェリ大学/トルコ)がつとめた『セカンドハンド』。中古市場で、戦争によって亡くなった愛娘が履くことが叶わなかった新品の靴を売る、自身も足を失った男性の物語です。

審査員特別賞は『ロルフおじいちゃん』(ヤコブ・オスマン監督/ドイツ)

審査員特別賞は、ヤコブ・オスマン監督(KASK & コンサバトリウム/ドイツ)の『ロルフおじいちゃん』。亡くなった祖父がナチスだったことを知った監督が、自身が抱える複雑な想いを詩的に表現した作品です。

 

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受賞作品には、それぞれ副賞として賞金が進呈されるほか、映画館での興行権が与えられます。いずれの作品も「平和」という大きなテーマを中心に据え、インタビューやアニメーションなどさまざまな方法によって、5分という短い映像に凝縮して表現されていました。

映像の力で無関心層の壁を超えていきたい

14回目の開催を終えた「UFPFF2024」。自身も学生監督として参加経験のある、事務局長の臼井健太さん(写真左)は、「『UFPFF』のいちばんの魅力は、つくり手である学生監督の顔が見えることです。作品からはもちろん、彼ら彼女らの声や表情から、平和の捉え方や想いをより直感的に受け取ることができます。わたしもそうだったように、監督自身も感想をもらう機会、語る機会を、うずうずと待っています。若い世代の会話や友情のきっかけを生み出す映像祭を来年度以降も盛り上げていきたいです」と語ります。

また、「国際平和映像祭」代表理事の関根健次さん(写真右)は、今年の振り返りと今後の展望について「今日も世界のどこかで戦争が続く中、『UFPFF』では、映像をきっかけに世界中の若者たちのつながりを作り続けてきました。来年はさらなる国際化をめざして開催します」と話していました。

世界各地で今日も起こっている戦争や虐殺を前に、何かできることがないかと、探している人も多いのではないでしょうか。そんな人は、ぜひ次回の国際平和映画祭に参加してみてください。

Text:kagari

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Kagari

ライター/エシカル・コンシェルジュ

フリーのライター/エシカル・コンシェルジュ。学生時代、100本以上のドキュメンタリー映画を通して、世界各国の社会問題を知る。事務職を経て独立後、ソーシャルグッドに関連する記事を執筆。都会暮らしからはじめるエシカルな暮らしを実践中。 Twitter:@ka_ga_r_i Instagram:@kagari_ethicallifejapan

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