世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、就活生と企業の価値観をマッチングする次世代キャリア支援プラットフォームを運営するスタートアップについてご紹介します。
最近の就活生が企業に求めるもの
就職活動といえば、年々早期化しており、いわゆる「就活ルール」での選考解禁日である6月1日には、すでに内定率が6割を超えているというデータがあるなど、時代に寄ってその表情はかわるもの。しかし、実際に就職活動する学生にとっては、キャリアをスタートさせる場所だからこそ、自分に合った企業で働きたいと考えますよね。
実際、電通が実施した『Z世代就活生 まるわかり調査2024』によると、エントリーする企業選びで重視するポイントについて、「最も当てはまるものをひとつを選ぶ」という設問で、1位が「自分の夢ややりたいことに近い業界」(16.3%)となりました。多くの就活生が、自分自身の価値観や夢を大切に就活にのぞんでいることがわかります。
就活生と企業を“価値観”でつなぐ次世代キャリア支援プラットフォーム『BaseMe』
就活生のそうしたニーズを捉え、新しい角度からキャリア支援サービスを展開するスタートアップ企業が、株式会社アレスグッドです。同社は、就活生と企業をつなぐキャリア支援プラットフォーム『BaseMe(ベースミー)』を開発・提供しています。
このサービスの最大の特徴は、「価値観」のマッチングに力点を置いていること。独自のプロフィール形式によって、企業の採用担当者は、履歴書やエントリーシートでは把握しづらい、学生の個性や価値観を知ることができます。
また7月には、『BaseMe AI』というAI機能の搭載を発表。機械学習や大規模言語モデル(LLM)といった技術を使って、学生のプロフィール、経験、志向性、行動データをもとに、学生の強みや弱みを分析できるそうで、学生と企業のより良いマッチングの実現に向けて、サービスのブラッシュアップを続けています。
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実はこの『BaseMe』、2021年5月に『エシカル就活』という名前でスタートしました。当初は主に社会課題に関心のある学生向けのサービスでしたが、その後、より幅広い価値観・興味関心に対応するため、2024年2月に現在の『BaseMe』というサービスに進化を遂げました。
現在の『BaseMe』は、社会課題への関心だけでなく、自分の「軸」となるさまざまな価値観で企業を探すことが可能に。また、長期インターンや留学、学生団体設立といった経験のある学生が登録者の過半数を占めているそうで、ハイクラスな学生が多数登録しているのも特徴です。
このサービスのおかげで、企業側もまた、従来の採用活動では出会えなかったような多様な学生と出会えるチャンスが生まれます。お互いの価値観が合っていると確認したうえで、選考オファーが出せるので、採用後のミスマッチも減らせるというメリットがあります。
サービス開発のきっかけは、創業者の原体験
『BaseMe』を開発した株式会社アレスグッドの創業者・勝見仁泰さんは、自身の就活経験がきっかけでこのサービスを思いついたそうです。幼少期から実家の八百屋を手伝い、ビジネスへの憧れを抱いていた勝見さん。高校3年生のときにフィリピンで見た児童労働の現場がきっかけで、社会課題に強い関心をもつようになりました。
その後、「ビジネスで社会課題を解決したい」という思いを胸に就活をスタートしたものの、自身の思いや考えとマッチする企業が見つからず、思い悩んだそうです。この経験から「社会課題から企業選びができたらいいのでは」というアイディアが生まれ、実際のサービス開発につながりました。
株式会社アレスグッドは最近、複数のベンチャーキャピタルから4.6億円の資金調達を実施しています。また、創業者の勝見さんは、アメリカの経済誌『Forbes』が発表した「日本を代表する30歳未満の30人」を表彰するアワード「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」にも選出されるなど、いま大きな注目を集めているスタートアップ企業です。
そんな『BaseMe』は、これからさらにサービス規模が拡大していくでしょう。こうしたミスマッチを回避するサービスがもっともっと広がれば、未来の就職活動は、これまでとは異なる新しいスタイルへと変わっていくのかもしれません。
Reference:
就職みらい研究所 就職プロセス調査(2025年卒)「2024年6月1日時点 内定状況」
「Z世代就活生まるわかり調査2024」
Text:Teruko Ichioka