世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日はロスフラワーに取り組むプロジェクト「祝い巡り花」についてご紹介します。
花き業界が抱えるロスフラワー問題
プレゼントやイベント装飾などで定番の生花は、わたしたちの生活を彩る存在です。
華やかなイメージがある生花ですが、市場や店頭での売れ残り、規格外などさまざまな理由から、まだまだ楽しめる状態でありながら、廃棄される花「ロスフラワー」が課題となっています。
ロスフラワー問題が広く知られるきっかけとなったのは、2020年のコロナ禍。冠婚葬祭など、イベント需要に支えられている「花き業界」において、各種催事の中止や延期が深刻な影響をもたらし、同時にロスフラワーの問題も浮き彫りとなったのです。
農林水産省によると、2020年3月~5月の花の取り扱い数は、過去3年と比較して約3,300本減少。取り扱い金額についても41億円の減少と発表されています。
近年、ロスフラワー問題に取り組むさまざまなプロダクトやサブスクが登場する中、渋谷を中心に、地域ぐるみで花を循環させるプロジェクト「祝い巡り花」がスタートしています。
渋谷圏を巻き込むロスフラワープロジェクト「祝い巡り花」
このプロジェクトは、東急不動産が、フラワーショップ「ALL GOOD FLOWERS」とともに、2024年8月より始動。渋谷圏内の商業施設「フォレストゲート代官山」や「ハラカド」開業に際して贈られた祝い花の廃棄に着目した、アップサイクルプロジェクトです。
具体的な流れは、まず開業や開店祝いなどに、「ALL GOOD FLOWERS」がアレンジメントを手がけた祝い花を贈ります。そこから一定期間の後に祝い花を回収し、ドライフラワーの花束へとアップサイクル。再び楽しめるようになった祝い花は、フォレストゲート代官山やハラカドの「ALL GOOD FLOWERS」店舗で、Lサイズ 2,200円、Sサイズ880円 (税込)というラインナップで、数量限定で販売されます。
販売から回収、ドライフラワーとして一般消費者へ届けるところまでを一環しておこなうことで、本来はロスフラワーとなっていたはずの祝い花の、サーキュラーエコノミーモデルが確立できるのです。
東急不動産では、2022年に、「東急プラザ渋谷」のイベント装飾に使用された祝い花をアーティストの手によりアート作品へアップサイクルし、展示および配布する取り組みを実施。2023年には、フォレストゲート代官山でドライフラワーへアップサイクルした祝い花のトライアル販売を実施しており、今回の「祝い巡り花」はその流れを引き継いだプロジェクトなのです。
また今後は、アップサイクルしたアイテムのギフトサービスなども視野に入れているそうで、新たな試みが楽しみですね!
ロスフラワーで心豊かな循環を
街にちょっとした幸せをプラスしたい、という想いが込められているという「祝い巡り花」。日々、多くの祝い花を贈り贈られている渋谷の街を起点に始まったロスフラワーへの取り組みは、単に「もったいない」を解決するだけではなく、わたしたちの生活をよりサステナブルに彩る存在となりそうですね。
References:農林水産省「花きの需要・供給の招来予想による総合的対策のとりまとめ」
Text:kagari