世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、グローバルに活躍するダンス&ボーカルグループのメンバーに日本出身者が増えている背景についてご紹介します。
8月28日、ME:Iがカムバック!
「ME:I」といえば、サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』を経て結成された、11人組ガールズグループであり、いま国内で高い注目を集めているガールズグループのひとつ。今年の4月にデビューを果たして以来、精力的な活動を続けています。
そんなME:Iが、8月28日に2ndシングル『Hi-Five』を携えてカムバックしました。
今作のタイトル曲「Hi-Five」は、非常に爽やかで気分の上がるポップなサマーソング。同楽曲のミュージックビデオは、公式YouTubeチャンネルにおいて、すでに1100万回再生を突破しまています。動画の公開から約1か月が過ぎているにもかかわらず、人気MVランキングに入っているところを見ると、その人気の高さが改めてわかります。
海を越えて活躍するグループに日本出身メンバーが増えている?
ME:Iは日本で多くのファンを抱えるグループですが、同時に、韓国メディアへの出演や、『K CON』といった世界で開催されるイベント出演などもおこない、海を越えて活動の幅を広げています。
そうしたME:Iの活動をきっかけに、改めて現在の世界の音楽シーンを眺めてみると、特にK-POP、JK-POPの領域において、グローバルに活躍するグループの中に、日本出身メンバーを見かける機会が増えていることに気づきます。
例えば、8月17日に『SUMMER SONIC 2024』に出演して、大きな熱狂の渦を生み出した、K-POP第4世代を代表するガールズグループの『IVE』。6人のメンバーの中で、特徴的な歌声とラップの実力を活かして活躍するREIは、日本出身メンバーです。
同じく第4世代を代表するガールズグループの『LE SSERAFIM』も、SAKURAとKAZUHAを擁していますし、アメリカなどでも大きな注目を集めている『XG』や、今年デビューを果たして「Magnetic」でヒットを飛ばした『ILLIT』、もうすぐ日本デビューを控えている『tripleS』などにも、日本出身メンバーが活躍しています。
また、ガールズグループだけでなく、ボーイズグループにも同様の傾向が見られます。日本人初の、SMエンターテインメント練習生となった『NCT』のメンバー・ユウタを筆頭に、TREASURE、ENHYPEN、RIIZE、&TEAM、n.SSign、JO1、INI……など、さまざまなグループで、日本出身メンバーが活躍する姿を見せています。
なぜ日本出身メンバーが活躍しているの? その萌芽は1990年代に
では、なぜ昨今、グローバルに活躍するグループの中で日本出身メンバーが増えているのでしょうか。さまざまな理由が考えられるのですが、今回は「日本のダンスカルチャーの発展」に焦点を当てて考えてみたいと思います。
日本では、1980年代後半までは、音楽シーンのメインストリームにダンス&ボーカルグループを見かけることはほとんどありませんでした。実際、大手音楽配信サイト『レコチョク』で1980年代のヒット曲の顔ぶれを見てみると、そのほとんどがソロシンガーの楽曲です。
一部、おニャン子クラブのようなアイドルの楽曲も入っていますが、当時のアイドルはどちらかというと、歌や演出、可愛らしさ、かっこよさに比重が置かれ、ダンスはそこまで大きなポイントではなかったように思います。
その傾向が大きく変わったのが、1990年代。1989年にZOOが結成され、91年に「Choo Choo TRAIN」でヒットを飛ばすと、TRFやSPEED、DA PUMPなど、歌とダンスを武器に活躍するダンス&ボーカルグループが目覚ましい活躍を見せるようになりました。
特にDA PUMPは、2000年代に『少年チャンプル』『スーパーチャンプル』(日本テレビ系)などといった、ストリートダンスをテーマとしたTV番組でMCを担当。ストリートダンスやダンスそのものの魅力を世の中に発信してきたことで、国内にダンサーの裾野が広がる大きなきっかけをつくりました。
2010年代にダンスカルチャーが大きく発展
そうしたベースがあって、2010年代には国内のダンスカルチャーが大きく発展。日本の音楽シーンには、EXILEや三代目J SOUL BROTHERS、AAA、Perfumeといった、ダンスに主軸を置いたボーカルグループが増加し、大きな支持を集めるようになりました。
また2012年には、中学校の保健体育において、ダンスが必修科目に。その結果、ダンス経験者が増えたことで、ダンス人口は爆発的に増加。一般社団法人ストリートダンス協会の推計によれば、2015年時点での国内の競技人口は約600万人に達したといいます。笹川スポーツ財団の調査でも、2023年における10代のヒップホップダンス人口は63万人というデータが出ています。
このように、1990年代から長い時間をかけて築き上げられてきた日本のダンスカルチャー。この礎があったからこそ、数々の才能ある人材が育ち、現在、グローバルに活躍するアーティストの誕生につながっているのではないでしょうか。「ダンス」という側面を切り取ってみると、そんなふうに分析できるのです。
海外で日本出身アーティストを見る機会が増えるかも
海外の調査会社のレポートによると、近年では、日本語の楽曲が、世界で少しずつ聴かれるようになってきているというデータがあります。実際、YOASOBIや新しい学校のリーダーズ、imase、藤井風など、海を越えてコンサートを開催し、高い支持を集めているアーティストも増えています。
来年以降もこの傾向は続き、これからもダンス&ボーカルグループやソロシンガーとして活躍する日本出身のアーティストを見る機会が増えていくのではないでしょうか。今後も世界の音楽シーンから目が離せそうにありません。
Reference:
レコチョク/1980年代ヒット曲
文部科学省/武道・ダンス必修化
一般社団法人 ストリートダンス協会
笹川スポーツ財団/ヒップホップダンス人口
Text:Teruko Ichioka