世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、障害者向けのキャリア支援事業をおこなうスタートアップ企業についてご紹介します。
パリ2024パラリンピック競技大会がいよいよスタート!
いよいよ明日、8月28日より、パリ2024パラリンピック競技大会が始まります。
公式発表によれば、世界185か国から4,400人の選手が出場予定だという今大会。日本からも多数の有力選手が、パリへと渡航しており、メダル獲得に大きな期待が寄せられています。
そんなパラリンピックをきっかけとして、今回は「ダイバーシティ&インクルージョン」に着目。障害者のキャリア形成や障害者雇用に焦点を当てた事業をおこなうスタートアップ企業を取り上げます。
当事者が立ち上げた、障害者向けキャリア支援事業
2022年に始動した株式会社RESTAは、障害者に特化したキャリア支援事業をおこなうスタートアップ企業です。
同社を立ち上げたのは、14歳のころに発症した脳内出血により、左半身の麻痺をもつ松川力也さん。松川さんは受傷後、障害当事者として社会参加への難しさを実感したことから、課題解決をめざすべく、起業を決意したといいます。
事業開発にあたっては、障害当事者や就労支援事業所、障害者雇用を実施する企業へのヒアリングを実施。ビジネスシーンでは障害者が評価されづらい現状があることから、「RESTA Career」というオンラインスクールを企画し、2023年3月にリリースしました。
「IT」をキーワードにスキルを磨き、年収アップを実現!
このスクールでは、多くの企業で使われているZoomやGmailといったITツールの使い方を学べるほか、Canvaを用いたデザインなど、現代社会で需要のあるスキルも身につけることができます。
また、一定レベルのスキルに達すると、企業からRESTAに依頼のあった案件を引き受けることも可能に。受講生が実務を担当して報酬を得ながら、学びを深め、スキルアップを図ることができる仕組みとなっています。さらに、カリキュラムを終えた後は、障害者雇用を検討する企業への転職サポートも受けることが可能です。
RESTAの発表によれば、スクール受講生の平均年収を、なんと60万円もアップさせることに成功したとのこと。開始からわずか1年半で手堅い実績を挙げており、ベンチャーキャピタルや企業、メディアなどから注目を集めています。
多角的な事業展開
RESTAはほかにも、「RESTA Connect」という人材紹介事業や、「RESTA Challenge」というBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング。企業の業務プロセスの一部を外部委託すること)事業、障害者雇用に関するコンサルティング事業も手がけています。
また2024年7月16日には、AIを用いた性格分析・心理分析・コンサルティングに強みをもつ株式会社ikigaiと共同開発した、障害者限定の「適職・キャリアUP診断」をリリースしたと発表しました。
同サービスでは、職歴や性格情報、障害に関する情報をもとに、ユーザーに対して具体的な業界や企業、ポジションまで提案するといいます。障害のある方々が、より自由にキャリアを描ける社会の実現に一歩近づくサービスとなることが期待されます。
RESTAが示す、ビジネスを通じた社会課題解決の可能性
ビジネス創出の場面では、これまで取り組む人がそう多くはなかった「障害者のキャリア形成」「障害者雇用」というテーマ。RESTAは、まだ未開拓領域の多い分野に挑むパイオニア企業だといえそうです。
そんなRESTAの事業は、自分らしく働きたいと考える障害のある方々と、深刻な人手不足の中で、即戦力となる人材を求めている企業のニーズをうまくマッチングさせながら、社会課題の解決に挑戦しています。
どのような社会課題でも、必ずどこかに突破口があり、誰かの課題を解決することがビジネスの本質である。RESTAの事業内容や創業経緯を知ると、そのようなビジネスを考えるうえでの本当に大切なことに改めて気づかされます。
References:パリ2024パラリンピック「数字で知るパリ2024パラリンピック競技大会」
Text:Teruko Ichioka