世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、百貨店大手の高島屋が取り組む、循環型のモノづくりプロジェクトについてご紹介します。
日本人が1年間に処分する衣服はひとりあたり約15枚
今日、アパレルショップなどで頻繁に目にするようになった「サステナブルファッション」という言葉。移り変わりの早いトレンドに裏打ちされるアパレル業界ですが、その環境負荷の高さが、近年特に問題視されるようになりました。そしてその問題は、服の作り手だけでなく、消費者側にもあります。
流行りのデザインに惹かれて購入したものの、次の年には飽きてしまったり、セールで安くなっていたからと、似たようなアイテムがあるのに買ってしまったり……。
環境省の調査によると、日本人ひとりあたりの年間衣服購入枚数は約18枚、手放す服は約15枚、1年間で1度も着られることのなかった服は35枚にものぼるそう。早いサイクルで消費がおこなわれれば、そのぶん、環境への負荷も高まります。
近年、アパレル業界では従来の大量消費、大量生産、大量廃棄のシステムから、サステナビリティを意識したサイクルへの転換が求められており、それは、トレンドを生み出す百貨店においても同様です。
中でも、高島屋が取り組むプロジェクト「Depart de Loop」では、製品を販売して終わりではなく、さらにその先を見据えた自社でのアップサイクルを通じて、循環型のモノづくりを推進しています。
高島屋が手掛ける循環型のモノづくり「Depart de Loop」
高島屋のホームページには、『再生して、未来へつなぐ。循環型のモノづくり「デパート デ ループ」。』という、高島屋のサステナブルな取り組みを紹介するムービーが公開されています。さまざまなブランドやリサイクルシステムをもつ企業と協業しておこなう、サーキュラーファッションへの道のりや苦労が描かれています。
基本的な流れとしては、素材やアイテムごとに回収を行い、再生を行います。例えば、製造工程において環境負荷が高いとされるデニムに注目した「デニム再生プロジェクト」では、顧客からデニムを回収するところからスタートし、1年かけて新たな商品へと生まれ変わらせるそう。
ワタ状の繊維に戻したデニム繊維の映像など、普段は目にする機会のないモノづくりの裏側を、ぜひチェックしてみてください。
他にも、「クリエイターズコラボレートTシャツ」シリーズや、再生ポリエステル糸を使用した、オールシーズン使い回せるメンズセットアップスーツなどのアップサイクル製品も展開されています。
ECOMMITとの協業も発表
2024年の5月には、循環型社会に向けた不要品の回収・選別・再流通のインフラを構築する株式会社ECOMMITとの協業を発表しました。このパートナーシップのおかげで、国内の高島屋、13店舗において、衣料品やコスメの常時回収が可能になります。
「Depart de Loop」を起点に、さまざまなサステナブルなアクションやプレイヤーが集まり、そのサイクルが大きくなっていきそうです。
「再生し続ける服」で、装うことを諦めない
「アパレル業界の闇」と表現されることもある、衣服のライフサイクルをめぐる高い環境負荷。この事実を知ったとき、おしゃれが好きな人ほど、ファッションとどう向き合っていくことが正解なのか、思い悩んでしまうかもしれません。
1着の衣服を長く大切に着ることや、古着を選択することなど、消費者ひとりひとりの責任を持った行動が広まるとともに、この高島屋のプロジェクトのように、生産背景や想いが伝わってくるアップサイクルプロダクトなど、業界側の変化にも期待したいですね。
References:環境省「サステナブルファッション」
Text:kagari