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環境破壊による被害を受けるアフリカで、環境教育はどうなってる?その事例を紹介【Steenz Breaking News】

環境破壊による被害を受けるアフリカで、環境教育はどうなってる?その事例を紹介【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカでおこなわれている環境教育について、ご紹介します。

被害が大きいのにもかかわらず要視されない環境教育

環境問題が深刻化する世界。その中でもアフリカは、大きな被害を受けています。特に、先進国の工業汚染や過大な消費行動によって進行する環境破壊が、アフリカの豊かな大地にも危害を与えています。アフリカ大陸に住む人口の70%が農業関係者ですが、生きている中で環境を汚染することが少ない彼らが、いちばんの被害者となっているのです。

ところが、その実態を伝える環境教育は、アフリカの多くの国で普及していません。筆者もウガンダで暮らしていますが、アフリカで「SDGs」という言葉を聞いたことがある現地人には、一度も会ったことがありません。

そこで今回は、アフリカで環境問題を広め、解決に導こうと活動している団体を紹介します。

宝探しで地球を守る「キャプテン・ファンプラスチック」

2018年、南アフリカの小学校で始まった「キャプテン・ファンプラスチック」は、子どもがプラスチックを集める海賊となって、環境問題に向き合うプログラムです。

「キャプテン・ファンプラスチック」ではまず、本を通して、カメが環境問題によって病気に苦しんでいる物語を共有します。子どもはその問題を引き起こしているプラスチック廃棄物や再利用の重要性、そしてゴミは使い方によっては価値になるということを学びます。

その後、子どもたちは海賊となり、「宝の地図」を手に、海や公園に旅に出て、ゴミ集めをスタートさせます。最も多くのゴミを集めた子どもは景品がもらえるのだそう。

このゴミ拾いプロジェクト以外にも、環境教育を受けた参加者や教師の行動を分析し、より良い教育を目指して研究を重ねています。実際に、1000人の参加者から得たデータでは、参加者のプラスチックの使用率が15%減少することがわかっています。

現在、このプログラムはアフリカをはじめ、ヨーロッパやアジアにも広がり、11カ国でおこなわれていて、テレビやラジオにも取り上げられているそうです。

環境保護に対する潜在的な意識を変えるため、「楽しさ」を入れたキャプテン・ファンプラスチックは、地球の未来に関わる子どもたちにインパクトのあるプログラムを展開しています。

実践型授業でリアルを伝える

一方、ゴミ処理や森林開発の問題を抱えるケニアでは、環境保護団体「Rhino Ark」と、環境・教育・科学技術省との官民パートナーシップによって、現地の学校で環境教育がおこなわれています。

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Rhino Arkは1988年に設立された団体で、密猟の脅威にさらされていたサイを救うために活動を始めました。現在は、野生動物と地域社会が心地よく過ごせるように、生態系保護に力を入れています。

184の学校が参加する環境教育では、学校のある地域の環境問題に焦点を当て、課題解決にまで導く授業を行っています。例えば森に近い学校では、森林伐採や狩猟がどう環境や生態系について影響があるか議論します。農業がさかんな地域の学校では、水源や土壌の重要性について学ぶのだそうです。

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さらに学びの一環として、生徒には苗が配られ、樹木の世話をします。これらの樹木は企業に販売され、生徒は受け取った収入を教育費等に充てることができます。

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アフリカで行われる環境教育の重要性

貧困や紛争、男女差別など、さまざま問題を抱えるアフリカにおいて、環境教育はなかなか浸透しにくいという側面があります。しかし、記事で紹介したように、議論や実践を基盤とした環境教育も存在しており、環境保護の需要性を学ぶにあたって、有効なはずです。

この先、アフリカの多くの人たちが環境教育をきっかけに、地球のこと、環境のことを知るようになれば、少しずつですが、進行する環境破壊を食い止められるかもしれません。

References:
The Rockefeller Foundation「70 Percent of Africans Make a Living Through Agriculture, and Technology Could Transform Their World」
Captain Plastic「Home」
Rhino Ark「Home」

TextHao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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