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世界中で「砂」が不足しているって知ってた?代替資源に使えそうなものはアレでした【Steenz Breaking News】

世界中で「砂」が不足しているって知ってた?代替資源に使えそうなものはアレでした【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、世界的に危惧されている砂不足の問題と、その代替材料をご紹介します。

砂が不足しているってどういうこと?

水や鉱石、原油など、さまざまな天然資源の枯渇や代替材料の開発についてのニュース、目にしたことがあるという人も多いでしょう。

しかし、砂についてはどうでしょうか。そう、 公園の砂場にある、あの砂です。実は、砂というのは立派な資源。どう使われているのかを確認しつつ、不足している砂の状況を見ていきましょう。

実は、とても身近なところで大量に使われている、砂。コンクリートの材料になったり、道路の舗装に使用されたりしています。砂なんていくらでもあるのではないかと思ってしまうところですが、砂にもいろいろな質の物があり、材料として利用できる砂は限られているのです。砂漠の砂が使えたらいいのですが、そうはいかないのですね。

先進国での都市整備、住宅整備での利用に加え、新興国でも利用されるようになった結果、砂が不足するようになったと言われています。2019年に経済協力開発機構(OECD)がおこなった調査では、2060年までの人口増加が予想どおりに起きれば、いまの2倍の需要が発生するといわれています。

国際連合環境計画(UNEP)は、2022年4月に「Sand and Sustainability: 10 Strategic Recommendations to Avert a Crisis」という報告書を出し、サーキュラーエコノミーの枠組みの中で、砂を管理すべきであるとしています。

またそもそも、需要が足りていても、砂の採掘は海岸や河川でおこなわれることが多いため、海岸線の侵食や生物多様性への影響などがあります。

砂の代替素材はホタテ貝殻

そんな砂不足を解決するための代替物として、脚光を浴びているのが、ホタテの貝殻なのです。

ホタテの国内有数の生産地として知られる、北海道猿払村。輸出額が上がっている中で、水産系廃棄物として貝殻が猿払村を含めた宗谷地区では年間約4万トンも発生しています。

このホタテの貝殻を有効利用できないか、というところから開発されたのが、砂程度の粒径に粉砕した「シェルサンド」です。ホタテ貝殻の主成分である炭酸カルシウムはコンクリートとの相性が良いのだそう。テトラポッドに使われる砂の代替素材として活用できる目途がつき、「HOTATETRAPOD」としてお披露目される段階まで来ています。

「HOTATETRAPOD」は、通常のテトラポッドに比べると、砂の消費量を従来の50%に抑えられることができます。多くの消波ブロックが設置されている猿払村での設置が進めば、年間431トンの砂の使用を削減することが可能になっていくのだそうです。

また、貝殻の持つリブ構造をデザインに反映したことで、表面積が大きくなり、海藻類が着生しやすくなりました。海藻類は海中の炭素を固定しますから、ブルーカーボン固定量の増加を見込めるようにもなっています。

廃棄物が有用な素材に変わる世界

インフラ整備に不可欠なコンクリート、道路の舗装の使われる砂。地震や台風への備え、または公衆衛生上の利点を考えれば、利用を制限するのは難しいでしょう。そのため、今後も需要が高まっていくであろう砂に代替素材ができた、それも廃棄物から、というニュースはうれしいもの。幅広い利活用が図られるようになるといいですね。

References :
Sand and Sustainability: 10 Strategic Recommendations to Avert a Crisis

TextItsuki Tanaka

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Itsuki Tanaka

ライター

フリーランスのライター。食、農、環境領域 /博物館好き/コーヒー、アイス、チョコも好き。

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