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ジンバブエで野生動物を守る、女性だけのレンジャー部隊「アカシンガ」が指し示す希望【Steenz Breaking News】

ジンバブエで野生動物を守る、女性だけのレンジャー部隊「アカシンガ」が指し示す希望【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、野生動物を密猟から守る、女性だけのレンジャー部隊、アカシンガについて、ご紹介します。

利益と娯楽のために犠牲となる野生動物

アフリカ南部に位置するジンバブエ共和国。ビクトリアの滝やワンゲ国立公園やマナ・プールズ国立公園といった大自然が有名です。しかし、その広大な自然で生きる野生動物の密猟が問題となっています。

動物の牙や歯、爪、骨は、ブラックマーケットで数百ドルで売買されます。その価格は、ジンバブエ人の月給を遥かに上回る金額です。

密猟は、動物の一部を売ることだけが目的ではありません。ハンティングをスポーツとして楽しむ人のための「スポーツハンティング」や、野生動物の肉「ブッシュミート」の獲得を目的とすることもあります。スポーツハンティングは、アメリカ人をはじめとして世界中から高額の参加費を払って参加する人も多くいるそうです。

グレートエレファント国勢調査によると、わずか7年間で、アフリカ全体のゾウの個体数は30%減少し、10年間でサイは7000頭以上が密猟者の手によって殺害されてきました。

 

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女性レンジャー部隊「アカシンガ」

こうした問題がはびこる中で、野生動物をハンターから保護しているのが「レンジャー」です。アフリカ全体で、約20,000人から25,000人いるとされており、その大半は男性です。

しかしジンバブエには、迷彩柄の服で武装し、密猟者から野生動物を守っている女性の部隊があります。それが、現地語で「勇気のあるもの」を意味する「アカシンガ」です。

では、なぜジンバブエでは、女性がレンジャーとして活躍しているのでしょうか。

 

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この部隊の創設者は、オーストラリア人のダミエン・マンダー氏。特殊部隊の元兵士で、イラクでも任務経験があるマンダー氏が南アフリカに滞在した際、深刻な密猟問題に直面し、レンジャーの部隊を設立を決意しました。実際にレンジャー部隊を組成するにあたり、男性レンジャーも訓練しましたが、女性のほうが向いているという判断に至ったそう。

まず、女性は保護能力が高く、汚職のはびこる国でも、ハンターから賄賂をもらう可能性が低く、さらに途上国においては、女性が活躍することが、動物保護につながるコミュニティの活性化に結びつくと考えました。

レンジャーになるための3日間の試験は、軍隊のテストに似ており、精神と体力を削ぎ落とされるようなメニュー。しかし、途中で諦めた人や脱落を言い渡された人は、女性のほうが男性よりもはるかに少ないそうです。

 

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この背景にあるのは、女性の多くが、虐待や性暴力の被害にあっていたり、孤児やシングルマザーといった人生を歩んできたからだと考えられています。アカシンガのレンジャーの給料は、月給約47,000円から235,000円と、農業従事者の多いジンバブエ人の平均よりも遥かに高く、人生を変えるという強い意志をもった女性が集まってくるのです。

 

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アカシンガの存在と女性の活躍によって、地域コミュニティはハンティングではなく、野生動物を保護することで活性化するようになりました。

 

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アカシンガがアフリカ社会にもたらす希望

アフリカの多くの国で、女性が家の外でする労働は、種類も限定的であり、賃金も不当に低い傾向があります。また文化的な背景からも、男性は力仕事を含めた多くの職に就けるのに対し、女性は家庭の中に押し込められ、社会に出ることを許されていないケースも多く見られます。

女性の能力や可能性が軽視されてきたアフリカ社会で、アカシンガの存在は、女性でも社会を変え、人生を変えることができるという望みを教えてくれています。

References:
PAULALLEN.COM「GREAT ELEPHANT CENSUS」
Thin Green Life「Home」
Grey Dynamics「Akashinga: All Female Anti-Poaching Unit」

TextHao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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