世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、6月に正式リリースとなった日本発のブロックチェーンゲームについてご紹介します。
ゲームで遊ぶだけで稼げる時代が来る?!
昨今、大きな注目を集めているブロックチェーン技術。金融分野で使われるテクノロジーという認識をもっている方も多いかもしれませんが、実は7年ほど前から、ゲーム領域においても、ブロックチェーンを活用する取り組みが始まっています。
ゲームでどのように技術を活用するのかというと、「同一の取引データを複数の参加者間で一斉に管理するために、データの偽造や改ざんが極めて難しい」という特徴を生かし、ブロックチェーンのゲーム内で流通する通貨やNFT(※)アイテムに、現実世界でも通用する資産価値をもたせるのです。そうすると、プレイヤーがゲームでおこなった活動の成果を、現実世界での“稼ぎ”に変換することができるようになります。
こうしたモデルのゲームのことを近年、「Play to Earn」と呼んでいます。まだまだ研究開発の途上にある分野ですが、いずれはゲームで遊ぶことで、それに応じた収入を得られて、生活ができる……そんな、ゲーム好きならば一度は想像してみたことのある、夢のような世界が実現するかもしれません。
※NFT:代替不可能なトークン。固有の識別情報を持つデジタル資産のこと
日本発のブロックチェーンゲームが誕生!
そんな「Play to Earn」の分野において、最近、日本発のブロックチェーンゲームが誕生。スマートフォンゲームの開発などで有名な、株式会社コロプラのグループ会社である株式会社Brilliantcryptoが、6月17日にPC版ゲーム『Brilliantcrypto(ブリリアンクリプト)』をリリースしました。これがいま、ゲームや暗号資産に関心のある人たちの間で、話題を集めています。
『Brilliantcrypto』は、非常にシンプルに説明すれば「宝石探しゲーム」です。プレイヤーは、NFTのつるはしを持ちながら、鉱山で採掘活動をおこないます。発見した宝石(NFT)を専用市場で売買することで、収益を得られるという仕組みになっています。
このゲームでは、ビットコインの「Proof of Work」という仕組みからヒントを得て、「Proof of Gaming」という仕組みを導入しています。これは、取引データの正しさについて合意を得るプロセスのこと。この仕組みがあることで、採掘活動をおこなったプレイヤーと宝石を紐づけることができ、プレイヤーは宝石やトークンを獲得することができます。
ゲーム内で使用できるトークンは「ブリリアンクリプトトークン(BRIL)」と名づけられ、ゲームのリリース日に国内大手暗号資産取引所のコインチェックによって上場(IEO)を果たしました。IEOの申し込み倍率は22.04倍、総額333億円の申し込みがあり、国内におけるIEOの最高額を更新しています。
なお、コロプラの発表によれば、このゲームでは正式リリースからおよそ1カ月で取引件数が1万件を突破し、最高額はおよそ56万円という取引も成立するまでに成長しているといいます。
「宝石のデジタル化」への挑戦がアイディアの源泉
『Brilliantcrypto』の開発には、コロプラの創業者である馬場功淳さんも携わりました。馬場さんは、さまざまなものがデジタル化していく世の中で、未だデジタル化の兆しが見えず、そもそもデジタルに移行することが難しいと思われている「宝石」に着目。宝石のデジタル化に挑戦することは、人類史において意義があるのではないかと考えたことで、『Brilliantcrypto』のアイディアが生まれたそう。
グローバルな市場調査を行う「Business Research INSIGHTS」のレポートによれば、世界のPlay to Earnのゲーム市場は、2031年までに63億2,454万米ドル、日本円にして1兆円を超える規模に成長すると予想されています。
また、昨今は生成AIなどの技術発展も、目を見張るものがあります。これから市場が拡大する中で生成AIなどの最新テクノロジーが組み合わさって、まったく新しい発想のブロックチェーンゲームが誕生する可能性も、大いにあると言えるでしょう。
Text:Teruko Ichioka