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環境配慮型のエネルギー「グリーン水素」でスキンケアアイテムを製造。コーセーの南アルプス工場に注目【Steenz Breaking News】

環境配慮型のエネルギー「グリーン水素」でスキンケアアイテムを製造。コーセーの南アルプス工場に注目【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、コーセーの新たな生産拠点と、そこで使用されるグリーン水素についてご紹介します。

コーセーが山梨県の南アルプス市に新たな生産拠点を建設

化粧品の製造販売などをおこなう株式会社コーセー(以下:コーセー)が、2019年4月より推進している「南アルプス工場」建設計画。2026年上期中の稼働を目指しているこの工場は、コーセーとその子会社であるコーセーインダストリーズ株式会社、そして山梨県が連携し、南アルプスの豊富な水資源を活用した「エネルギーの地産地消」に取り組みます。ここで、南アルプスの豊富な水資源を活かし、主にスキンケア製品の製造をおこなわれるそうです。

特に注目したいのが、今回建設されている工場で「エネルギーの地産地消」が掲げられ、サステナブルな要素を多く取り入れているということ。では、具体的にはどのような点がサステナブルなのでしょうか。

「南アルプス工場」は何がサステナブルなの?

取り組みの内容としてまず挙げられているのが、山梨県産の「グリーン水素」や、環境に配慮した再生可能エネルギーを、工場の稼働に最大限活用するというもの。グリーン水素とは、水力や風力、太陽光などから生まれた再生可能エネルギーを使い、水を電気分解して生み出した水素のことを指します。南アルプス工場ではこのグリーン水素を最大限活用し、化石燃料から段階的に転換していきます。

また工場内では電力や熱エネルギーも必要なため、県営の水力発電所でつくられた二酸化炭素フリーの電力や、山梨県の日照時間の長さを生かした太陽光による自家発電も活用します。特に二酸化炭素フリーの電力は、工場の稼働にとどまらず、工場建設時にも使用。建設段階から県営水力発電所由来の二酸化炭素フリー電力を、工事エネルギーとして100%使用するのは、全国初の試みとなります。

ニュージーランドでは初となるグリーン水素高速充填施設の営業を開始

こうした「グリーン水素」の活用の動きは、国外でも見られます。株式会社大林組はニュージーランドの信託組織「Tuaropaki Trust」と、協同で設立した事業会社「Halcyon Green Hydrogen Limited(以下:ハルシオングリーンハイドロジェン)」を通じて、2024年6月10日より、グリーン水素の高速充填施設の営業を開始しました。

この施設は、物流の要所が集まる地域「ウィリ」に位置し、オークランドの中心部まで30㎞、空港までは7㎞と、比較的好立地な場所にあります。そのため、これから需要拡大が予想される燃料電池車や、実用化が進められている水素燃料で動く飛行機にも、十分に対応できると期待されているのです。

今回。ハルシオングリーンハイドロジェンが採用したのは、オーストラリア製のコンテナ式高速充填装置。トラックやバスなどの大型車両も15分ほどで充鎮が完了するため、大幅な時間短縮が可能になります。また供給するグリーン水素が、地熱発電由来のものという点も特徴。国内の電力約20%を地熱発電でまかなっているニュージーランドならではといえるでしょう。

これからのグリーン水素の活用に期待

年々需要が増えているグリーン水素は、水が豊富であれば水力発電を、地熱利用が発達しているのであれば地熱発電をと、その地にあった再生可能エネルギーを活用し生み出せます。とはいえ日本では、再生可能エネルギーに対応する発電所の数や、グリーン水素をつくる設備の費用問題など、その普及にはさまざまな課題があることも事実です。

そうした課題に向き合いつつ、コーセーの南アルプス工場の事例を参考に、クリーンなエネルギーを活用する企業が増えると嬉しいですね。

Reference:
グリーン水素とは?将来性や山梨県における取り組みについて解説|山梨県
火山大国 日本! 地熱発電にひかり ‐日本とニュージーランドの融合へ‐|日本貿易振興機構

Text:Yuki Tsuruda

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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