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キレイなトイレは命を救う!アフリカの衛生環境を守る企業とNGOを紹介【Steenz Breaking News】

キレイなトイレは命を救う!アフリカの衛生環境を守る企業とNGOを紹介【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカで現地の人々の衛生と健康を守る企業とNGOを紹介します。

アフリカにおける深刻なトイレ問題

誰もが当たり前のように使っているトイレ。しかし世界には、きれいなトイレを使えない人が多く存在します。ユニセフによると、6億人以上が野外で排泄をせざるを得ない環境にいるそうです。

筆者が暮らすアフリカにおいても、約31%の人が、排泄物が正しく処理されないトイレを使用しており、これらが感染症や下痢症疾患を起こす原因になっています。下痢性疾患は、5歳未満の子どもの死亡原因の第2位となっており、トイレの衛生環境は生死を左右する問題でもあるのです。またトイレがないことで、若い女子が学校に行けない理由にもつながっています。

こうした問題の解決に励むのが、ケニア発の「Sanivation」という企業、そして「Fresh Life」というNGOです。

廃棄物をエネルギーに。Sanivationの取り組み

「Sanivation」は、廃棄物収集と簡易トイレの設置によって、東アフリカの人々の衛生環境に大きく貢献している社会的企業です。

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ケニア各地で廃棄物処理プラントの設置をおこなう「Sanivation」。収集した汚物は、ボイラーで農業廃棄物と混合されて、練炭などに変換されます。薪の使用削減につながり、森林破壊対策にも役立っています。

廃棄物の収集は、UNCHR(国連難民高等弁務官事務所)や公益事業体と提携しておこなわれています。適切に廃棄物が収集され、管理されたトイレが増えてるにつれて、病気のリスクを減らすことにつながっているのです。

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例えば、ケニアのナイバシャで稼働する廃棄物処理プラントは、1万人以上にサービスを提供し、毎月350トンの燃料を生産しています。そのほかにも廃棄物処理プラントは、学校や繊維工場、酪農場などに販売されています。さらに、ソマリア難民などが集まるカクマ難民キャンプでも稼働しており、インフラ整備が難しい難民の衛生環境の向上に貢献しています。

簡易トイレはコンテナ式のトイレで、設置は無料です。トイレのメンテナンスには少額の料金がかかるものの、トイレの再購入率は90%を超えています。

また、Sanivationの廃棄物処理プラントは、エネルギーの支出を38%節約できると推定されており、女性を多く含む200人以上の雇用を創出していています。

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貧困層に特化したトイレを設置。Fresh Lifeの取り組み

衛生サービスを提供するNGO「Fresh Life」は、下水道のないスラム向けに、水のいらないトイレを設置する事業を展開しています。

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貧困地域ではトイレへのアクセスが困難で、ケニアで3番目に大きい都市・キスムスラムでは、推定30万人が、安全な衛生設備にアクセスできていません。

Fresh Lifeは、こういったスラムや災害被害を受けた地域で、世界からの寄付によってトイレ設置をおこなっているほか、都市部の貧困層に衛生システムを開発するためのガイダンスを提供するコンサルティングサービスも提供しています。

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廃棄物処理は、廃棄物を農業投入物に変換する「Regen Organics」などの会社と提携。スラムの住宅地だけでなく、人の集まる市場にもトイレ設置を行っており、貧困層衛生問題に対して、効果的な役割を果たしているといえるでしょう。

アフリカにおけるトイレの衛生環境の向上に期待

アフリカでは、開発が急速に進む裏で、資本主義や弱肉強食の社会の犠牲となり、貧困に喘ぐ人がいます。食べるものを購入するために、インフラに投資することを遠回しにされてしまうケースが多い中、これらの企業やNGOの取り組みがさらに普及していき、問題解決につながることを期待したいですね。

References:
UNICEF「Progress on household drinking water, sanitation and hygiene, 2000-2017」
World Health Organization「Diarrhoeal disease」
Sanivation「NAIVASHA: Waste-to-energy plant」
GLOBAL OPPORTUNITY EXPLORER「Toilet Service Offers Sanitation And Clean Fuel」
EEP Africa「Sanivation」
Fresh Life「Fresh Life works with municipalities to deliver safe,equitable and sustainable sanitation」

TextHao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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