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牛肉の提供が禁止に!カンヌ国際映画祭のサステナビリティな取り組み【Steenz Breaking News】

牛肉の提供が禁止に!カンヌ国際映画祭のサステナビリティな取り組み【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、カンヌ映画祭におけるサステナビリティな取り組みについてご紹介します。

気候変動対策に乗り出したカンヌ国際映画祭

ヴェネツィア国際映画祭、ベルリン国際映画祭と並んで、世界3大国際映画祭のひとつである、カンヌ映画祭。今年も5月14日から25日にかけて、第77回カンヌ国際映画祭が開催されました。

今年のカンヌ映画祭では、CO2排出削減に向けた取り組むとして、牛肉の提供が禁止されたことが話題を呼びました。他にも、食品ロス対策や専用車用としての電気自動車の導入、ペットボトルの禁止、参加者ひとりあたり20ユーロの「環境貢献金 」の徴収など、さまざまな気候変動対策をおこなったそうです。

産業革命前と比較して、世界の平均気温上昇を1.5℃に留めることを唄う「1.5℃目標」を環境対策基準として掲げているカンヌ国際映画祭。この目標達成のために、理想的な数値とされる「2030年までに43%の温室効果ガスの排出削減」にも意欲を見せています。

世界中から著名なゲストが集う祭典の場でさえも、華やかさのみを追求していた時代は終焉を迎えようとしています。大きな影響力を持つカンヌ映画祭が、環境負荷の大きい牛肉の提供を禁止したことは、映画業界のみならず、世界中にインパクトを与えると考えられるでしょう。

改めておさらいしたい、牛肉の環境負荷

牛肉の消費が環境に与える影響については、耳にしたことがあるかもしれませんが、今回の映画祭での提供禁止の背景となる「牛肉の環境負荷」について、改めて見てみましょう。

肉牛の畜産は、多くの環境負荷をもたらすことが問題となっています。具体的には、牛のゲップによるメタン排出、排泄物の未処理による水質汚染、畜産飼料の作物を育てるためのエネルギー消費などが挙げられます。

さらに国際環境NGOグリーンピースによると、森林破壊や生態系の破壊を引き起こす原因にもなっていると指摘されています。牛を育てるためには、その飼料となる穀物を育てる必要があり、そのために広大なプランテーション開発がおこなわれています。この開発の際、多くの森林が伐採され、生態系に悪影響が及んでいるのです。

これらの事実を踏まえ、気候変動が問題視される中、牛肉の食文化が見直されるときが来ているのではないでしょうか。

カンヌ映画祭における牛肉の提供禁止の意義

フランスは、1.5℃目標を定めた「パリ協定」を掲げた場所であり、気候変動対策に積極的に取り組む国のひとつです。しかし一方で、EU最大の牛肉消費国でもあります。具体的な数字を見ると、平成31年(2019年)には、フランスで約18,000頭の牛が飼養されており、これはデンマークの約1,5,000頭や日本の約3,800頭と比べても、非常に多い数です。つまり、フランスにおける牛肉消費の見直しは、気候目標達成のために重要な課題となっているのです。

とはいえ、豊かな食文化をもち、牛肉を使った料理が欠かせないフランスでは、こうした規制や削減とは逆行する動きも見えます。肉製品の生産関係者団体などからの要請により、フランス政府は、欧米において広がりを見せる植物性由来のステーキ、ソーセージ、ハムなどの食品に対し、肉を連想させる名称使用を禁止する政令を2024年5月1日より施行しました。これは、畜産業の保護や、保守的な思想信条への配慮があると報じられています。

牛肉消費に変化は訪れるのか

影響力のあるカンヌ国際映画祭で、牛肉の提供が禁止されたのは、環境負荷について広く世界が認識し、対策をおこなっていくための、大きな一歩といえるでしょう。しかし、環境問題に先進的である欧州でも、その動きはまとまっているとは言い難い状況です。フランスをはじめ、各国が牛肉の消費をどのように見直していくのか、その道のりはまだ明確ではありません。

References:

green queen「No Meat On the Riviera: Cannes Film Festival Bans Beef to Reduce Carbon Footprint」
green queen「France U-Turns on Factory Farming, Calls for Cheaper Meat」
green queen「8 Charts That Illustrate the Impact of Food Systems and Our Diets on Climate Change」
green queen「Sacré Beef: France’s Agriculture Ministry Proposes Labelling Ban for Plant-Based Meat Terms Like ‘Steak’, ‘Ham’ and ‘Grilled’」
国際環境NGOグリーンピース「牛のゲップだけじゃない。肉の大量消費が引き起こす10の環境問題まとめ」
農林水産省「畜産物の国内生産を巡る状況」
JETRO「植物性由来の食品への「ステーキ」など肉製品名称が使用禁止に」

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Kagari

ライター/エシカル・コンシェルジュ

フリーのライター/エシカル・コンシェルジュ。学生時代、100本以上のドキュメンタリー映画を通して、世界各国の社会問題を知る。事務職を経て独立後、ソーシャルグッドに関連する記事を執筆。都会暮らしからはじめるエシカルな暮らしを実践中。 Twitter:@ka_ga_r_i Instagram:@kagari_ethicallifejapan

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