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人口59万人の島国が西アフリカのテックハブに?カーボベルデがAI大国になる可能性【Steenz Breaking News】

人口59万人の島国が西アフリカのテックハブに?カーボベルデがAI大国になる可能性【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、テクノロジーのハブになると注目を集めている国、カーボベルデについてお伝えします。

小さな島国が秘めた大きな可能性

「テクノロジー国家」と聞くと、多くの人が想像するのは、シリコンバレーやGAFAMを擁する米国や、世界のIT産業をリードしているといわれるインド、あるいは国家事業としてテクノロジーに注力しているエストニアなどでしょう。しかし近年、アフリカのある国が、テックハブになると注目されています。その国とは、大西洋に浮かぶ島国、カーボベルデです。

そもそも、カーボベルデという国自体、初めて耳にするという人も多いでしょう。カーボベルデは大西洋に浮かぶ、滋賀県ほどの面積の小さな島国で、人口は59万人です。

経済規模は小さく、主な産業はバナナやサトウキビの栽培と漁業のほか、真っ青な海とカラフルな街並みを生かした観光業が主要産業となっています。

そんなカーボベルデがなぜ、西アフリカのテクノロジーの中心地になると注目されているのでしょうか。理由は主にふたつあります。

ひとつめは、海外で教育を受けた若者が多いこと。カーボベルデ国民は、ポルトガル人とアフリカ人の混血が約7割を占め、もともと欧州とのつながりが強く、さらに国内の経済が弱く、多くの若者が海外に留学や出稼ぎに行きます。実際、カーボベルデでは、国内よりも国外に住む人口のほうが多く、それが社会問題ともなっています。しかし政府は、海外で教育を受けた若者が多く、また海外との結びつきの強さによって外需が生まれることを強みだと捉えています。

そして理由のふたつめは、社会的、政治的に安定していること。紛争やクーデターが続くアフリカ諸国では、インターネット回線をはじめ、ビジネスに必須のインフラが遮断されることも稀ではありません。一方でカーボベルデは安定しているため、アフリカ大陸の全人口の36%しかインターネットへのアクセスがないのに対し、国民の70%が、インターネットへのアクセスできるという環境なのです。

アフリカ開発銀行による巨額融資も

実際に、アフリカ開発銀行は、カーボベルデ政府とタッグを組み、「カーボベルデテクノロジーパーク」という経済特別区の開発を進めています。アフリカ開発銀行は、すでにこの特区の開発援助のために、約23億円の融資に署名。ビジネスの中心地としての機能を果たすとともに、テクノロジーに関連したトレーニング施設もあります。さらに、ここに拠点を置く企業は、減税や輸入税の優遇措置が受けられるというメリットもあるのです。

政府としても、こうした投資に積極的で、カーボベルデのスタートアップに投資するために、100 万ユーロの基金を立ち上げたほか、国内外の大学や企業と提携して、300人のアフリカの若者に対して、ソフトスキルトレーニングと雇用確保をおこなう計画も発表しています。

注目が高まる西アフリカのテックハブ

このように、官民が一体となり、テクノロジー立国として成長の兆しを見せているカーボベルデ。インドのベンガルールやイスラエル、エストニアなどと同様に、投資家やグローバル企業から、熱い視線が注がれています。今後のカーボベルデの動向から、目が離せません。

References:
Data Commons「Cape Verde」
TimeCamp「Average Salary in Cabo Verde (Cape Verde)」
外務省「カーボベルデ」
The World Bank「From Connectivity to Services: Digital Transformation in Africa」
World Data「Mobile communications and Internet in Cape Verde」
African Development bank Group「Cabo Verde: €14 million loan from African Development Bank will strengthen role as regional tech hub」

TextHao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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