「気になる10代名鑑」の737人目は、林英資さん(19)。日常のなかでのひらめきや、身近な出来事をテーマにして、油絵の具を用いた平面作品や立体作品を創作しています。若いうちに大規模な展示を開くことが目標だと話す林さんに、創作を始めたきっかけや、これまでに印象的だった出会いについて話を聞いてみました。
林英資を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れていることは?
「油絵の具を使用して、平面や立体の作品を制作しています。創作のテーマを思いついたり、何かにインスピレーションを受けたときは、なるべくすぐにメモやドローイングをするようにしていて。できるだけ鮮度が高い記憶や情報を残しておきたいんです。
高校生のとき、学校からの帰り道にバス停で座っているおじいさんがいて。年齢も過ごしている日常も、まったく違うふたりが一緒にバス停にいることが、なんだか面白いことだと思ったんです。でも、その風景をすぐ絵にしないまま、けっこう時間が経ってしまって。最近思い出して描こうとしたのですが、いまいちあの感覚がつかめず、苦戦しました。
いまは、そういったことが起こらないよう、何かひらめきみたいなものを感じ取ったときは、できるだけ素早く記録するようにしています」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「本格的に美術について勉強し始めたのは、高校に入学してから。特にきっかけみたいなものはなくて。保育園のころから好きだった落書きや工作が、ずっと続いているイメージです。
もともと、砂場遊びをしたり、レゴで遊んだりと、手を使って何かをつくることがすごく好きなんです。幼稚園のころ、セミ取りに参加できなかったことがあって、そのときは石と落ち葉でセミをつくりました(笑)。
絵画教室やデッサン教室に通ったこともありましたが、そんなに勉強をしているっていう意識はなくて。ひたすらに楽しんでいました」
Q3. 活動を続ける中で、印象的だった出会いについて教えてください
「創作に対して、真摯に向き合っている友人との出会いです。僕が通っていた高校では、作品への講評をもらう時間が定期的にあって。まず、作成の動機や反省点、手段などを発表して、その場で先生からフィードバックをもらうんです。
毎回、とても緊張したけど、みんなの制作背景を深く聞けるのが楽しくて。考えていることがまったく違う人間たちが、どんな過程で創作をしているのかがわかったり、創作へのこだわり伝わってきたり。すごい貴重な時間でした」
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Q4. 活動のするうえで、悩みはありますか?
「悩みというほどではないんですけど、“作品の一貫性”について考えることは多いです。
というのも、昔から身の回りの出来事をテーマにしているので、一貫したものがあるかどうか、その自覚がなくて。『自分の作品にとってのまとまりって何だろう?』と考え込むことがよくあります。
とはいえ、そんなに悪いことじゃないと思っているし、現時点で、自分がグッと来る作品の制作をまっとうすることで、一貫性やまとまりについての答えがあると思っています」
Q5. 今後の展望について教えてください
「若いうちに、いくつかの大規模な展示会を経験したいです。
画家や作家というのは、言葉では定義できないような、ふわっとした存在だと思っていて。だからこそ作品を通じて、自分自身や自分の作品が与える影響について、興味があります。
世界と自分の作品との関係をはっきりさせるためにも、制作をたくさんして、そこからできるだけ多くのことを学びたいと思っています」
林英資のプロフィール
年齢:19歳
趣味:工事現場や解体現場を見ること
大切にしている言葉:層
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Photo:Nanako Araie
Text:Kanon Yoshizumi