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世界最強のパスポートに日本が返り咲き!10代の取得も増えているパスポートについて改めて調べてみた【Steenz Breaking News】

世界最強のパスポートに日本が返り咲き!10代の取得も増えているパスポートについて改めて調べてみた【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、日本や世界のパスポートについてご紹介します。

世界のパスポートランキング2024!最強の6か国とは?

異国の地を訪れる際に欠かせないパスポート。外務省の旅券統計によると、2023年に国内で発行された一般旅券数は3,529,226 冊で、前年比 258.3%(158.3%増)となっていて、コロナ禍が明けたことが実感できるような数字です。ちなみに、そのうちの10代が占める割合は22.4%で、発行数は344,887冊となっています。

そんなパスポートですが、ビザを申請せずとも訪れることのできる地域の数によって、ランク付けがされているんです。「世界パスポートランキング」と呼ばれているこのランク付けは、国際航空運送協会(IATA)の独占データをもとに、イギリスのコンサルティング会社である「ヘンリー&パートナーズ」の調査チームによって作成されており、3か月ごとに更新されています。

そして、2024年の世界ランキング1位に輝いたのは、フランス、ドイツ、イタリア、日本、シンガポール、スペイン」の6か国。ちなみに、同時に6か国が1位に並ぶのは、今回が初めてだそう。そして注目したいのが、日本が1位にランクインしていること。実は日本は、過去に世界パスポートランキングで5年ほど連続1位になっていましたが、2023年の夏に3位へ後退。そのため、今回のランキングで1位に返り咲いたことになります。

再びトップに立った日本のパスポートとは、いったい、どのようなものなのでしょうか。

1位に返り咲いた日本のパスポート

もともと江戸時代末期に誕生した日本のパスポートですが、現在は5種類存在します。

まずは、私たちにも馴染みのある紺色の5年用と赤色の10年用パスポート。こちらは、都道府県が取り扱っており、パスポート作成の申請を行った日に満18歳未満であれば5年用のみ、18歳以上であれば、5年と10年の2種類から選択できます。

続いては、表紙が緑色の「公用旅券」、茶色の「外交旅券」、紺色の「緊急旅券」と呼ばれる3種類。こちらは国が取り扱っています。公用旅券は国会議員や公務員などが、外交旅券は皇族や官僚などが公務で海外へ行く場合に利用します。そして最後の緊急旅券は、旅先でのパスポート紛失や期限切れなどといった緊急事態に、在外公館にて発給できるパスポートです。現在、日本では、この5種類を取り扱っています。

葛飾北斎の「富嶽三十六景」が採用された理由とは?

日本のパスポートは、2020年に28年ぶりとなるデザイン変更がおこなわれて、話題になりました。セキュリティ機能の向上は勿論ですが、中でも注目したいのが査証欄です。査証欄とは、ビザを貼ったり出入国の際にスタンプを押したりするページのこと。

これまではすべてのページが桜地紋で統一されていましたが、デザイン変更によって、日本を代表する浮世絵師・葛飾北斎の「冨嶽三十六景」24作品を採用(5年用は16作品)。「凱風快晴」や「神奈川沖浪裏」などがあり、見開きごとに異なる作品が印刷されています。2020年以降にパスポートを申請したという人は、ぜひ確認してみてください。

もしかすると、このデザイン変更に対して「セキュリティ対策が目的なのに、なぜ浮世絵?」と思った方もいるかもしれません。これには、ちゃんとした理由があるんです。数字や単純なデザインよりも、芸術作品のように繊細で複雑なデザインのほうが、不正な読み取りや偽造を防止できるそうです。

こうしたユニークなセキュリティ対策を含め、旅先での日本人の不法滞在や犯罪が少ないことなどが、ビザなしで194もの国や地域への渡航を可能にしています(2024年5月時点)。これが、日本のパスポートが「最強」と謳われている理由なのです。

マルタ騎士団が発行するめずらしいパスポート

海外の地を訪れる際に必要となるパスポートですが、土地がないにもかかわらず発行されているケースもあります。それが、「マルタ騎士団のパスポート」です。

カトリック教会の一般信徒の宗教団体であり、現在、120もの国で医療や社会、人道プロジェクトをおこなっているマルタ騎士団。独自の憲法や州旗、切手やコインなどが存在し、113の国と外交を行っています。国家ではないので、領土は所有していないにもかかわらず、独自のパスポートがあり、外交関係を持つ113の国々が、有効な渡航文書として認めています。

パスポートは「外交用」と「サービス用」の2種類あり、州旗と同じ赤色が特徴です。ちなみに外交用は、総長や外交使節団のトップなど、位の高い役職や特別な任務につく人とその家族が対象で、現在500枚ほど発行されているそう。一方でサービス用は、危険地域で活動するマルタ騎士団の人々に与えられ、現在50枚ほど使用されているそうです。

さまざまな工夫がなされている日本のパスポート

ちなみに2020年のリニューアルの際、葛飾北斎の「冨嶽三十六景」以外にも、お正月やひな祭りといった行事、桜のように日本の四季を彷彿させる植物、「空を飛ぶ旅」を連想させる鶴などが候補にあがっていたようです。そして、その決定には、東京オリンピックへの意識が背景にあったそう。そういった観点からパスポートを研究してみるもの、楽しいかもしれませんね。

Reference:
旅券統計|外務省
パスポートの基本知識|大阪府
領事・査証関連|在広州日本国総領事館
次期パスポートの基本デザイン決定|外務省
2020年旅券Q&A|外務省
The Official Passport Index Ranking|Henley &Passport
FAQ|Sovereign Miltary Order of Malta
Government|Sovereign Miltary Order of Malta
Diplomatic Activities|Sovereign Miltary Order of Malta
Passport|Sovereign Miltary Order of Malta

Image:国立印刷局ホームページ

Text:Yuki Tsuruda

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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