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チョコレートの値上げ。その背景にある西アフリカ産カカオの高騰について【Steenz Breaking News】

チョコレートの値上げ。その背景にある西アフリカ産カカオの高騰について【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、チョコレートの価格高騰が起きている背景についてお伝えします。

世界のカカオ生産を担う西アフリカ

4月ごろ、日本でもいくつかのメディアで「チョコレートの価格高騰」が報じられました。天候不順など、さまざまな要因が重なったことで、多くの原産国でカカオ生産量が減少し、その影響でチョコレート商品の価格も上がっています。特に、カカオ生産の大部分を担う西アフリカでは、カカオ農家が打撃を受けています。

世界の全体のカカオ生産量の80%を担っている、コートジボワールやガーナといった西アフリカ諸国。実際、日本が輸入しているカカオ豆の約80%が、ガーナ産です。しかし、西アフリカでは、大雨や干ばつといった天候不順や、カカオを枯らす病気の急速な蔓延により、収穫量が激減。価格は3か月で倍以上に高騰しています。

 

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カカオの木というのは、とても病気にかかりやすく、世界生産量の30〜40%が損失しているという推定も出ています。カカオは苗を育て始めてから収穫できるまで4年近くもかかるため、気候変動や病気による損失は、カカオ農家にとって大きな打撃です。

しかし、カカオの価格高騰の背景にあるのは、気候変動や病気だけではありません。違法な金採掘者によって、カカオ農園が侵食されているという事実があります。金が豊富に採れるガーナやコートジボワールでは、違法な採掘業者によってカカオ農園が占拠されたり、また採掘によって土壌が汚染され、カカオ栽培ができなくなってしまったりするのです。

金採掘というのは限られた採掘者や企業に独占されていることが多く、警察や政治家も含めて汚職が蔓延していることもあります。そのため、小規模なカカオ農家は不当な目に遭っても、警察に適切な対応をされず、裁判を起こすこともできないのです。

「カカオ栽培以外に職はない」

そもそもカカオというのは、生産者から消費者にわたるまで多くの過程があり、農家に入る利益はごく僅かです。有名なコーヒーチェーンといった大企業が、買い取りの効率を良くするため、カカオを栽培している村ごと独占して買い取っているケースもあります。農家にとって安定した買い手がいることはメリットですが、農家は価格を設定できないうえ、買い手の競争相手がいないことで、安価で買い取られてしまうという現状も聞かれます。

カカオの価格高騰は、農家だけでなく、カカオ栽培に依存している西アフリカの経済全体にまで影響するものです。西アフリカのカカオ農家には、代々土地を継いできた人も多く、カカオ栽培以外には仕事ない、働き口がないというケースも。そうした環境であるからこそ、サプライチェーンにおいて得られる利益が少ないにもかかわらず、カカオ栽培に依存せざるをえない状況ですし、今回のような不作があると、生きることに直結するほど、影響を受けやすいのです。

わたしたちも、ただ「物価が上がってチョコレートが高くなった」と悲しむだけでなく、その背景にあることを理解したうえで、消費者としてのより良い選択が迫られます。

References:
外務省「カカオ豆の生産量の多い国」
JATAN「カカオによる森林破壊の問題」
ICCO「Pets & DISEASES」

TextHao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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