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アジアの漁船がアフリカの海で乱獲をおこない、生態系への悪影響も。 世界はどう対応すればいい?【Steenz Breaking News】

アジアの漁船がアフリカの海で乱獲をおこない、生態系への悪影響も。 世界はどう対応すればいい?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカで横行している、アジアからの漁船による乱獲についてお伝えします。

国際社会からの監視が困難な漁業

アフリカの海でアジアやヨーロッパの漁船による乱獲がおこなわれています。その影響で魚資源が枯渇し、アフリカの人たちの経済に打撃を与えているほか、生態系にも影響が出ています。

特に、西アフリカでは、中国の漁船よる大規模な漁業が行われており、年間平均漁業量の64%がこの海域で獲られたともいわれています。これは、中国の海域で魚資源が枯渇していることが背景にあるようです。

アフリカの海域で獲られた魚は、中国国内で消費されているほか、欧州や日本にも輸出されているそう。国際社会から、こうした乱獲には厳しい目が向けられていますが、例えば加工食品の原料にされる場合など、どこで獲られた魚なのかを判別するのは難しく、制限させるのはなかなか容易ではありません。

アフリカの未来を奪う外国の消費者

国際環境NGOのグリーンピースによると、アジアやヨーロッパからの漁船は、これまでに、西アフリカに暮らす30万人の雇用と、3000億以上の収入を奪ったとされています。

これらの国は大型船で大規模な漁業を行うため、小型船を使って小規模の漁をしている現地の漁師からすると、その収穫量にも大きな差があり、影響は甚大なのです。

西アフリカの国々も、こうした現状を問題視しています。しかし、なかなか大きな反発につながりません。

その理由としては、外国からの投資の存在が挙げられます。例えば、日本にもタコを多く輸出しているモーリタニアでは、中国企業が現地政府と協定を結び、150億円の投資と引き換えに、水産加工工場を建設し、国内産業に強い影響力をもっています。

国全体としては、こうした投資によって利益や雇用が生まれていますが、その一方で漁師たちは仕事を失い、さらに魚資源の枯渇につながっています。経済が発展していない国では特に、自然環境が農家や漁師の暮らしを左右します。

さらに、こうした乱獲の現場には、労働力としてさまざまな人種が集まっており、強制労働や過酷な労働環境、人身売買といった国際的な人権問題にまで発展しているのが現状です。

世界では、長年にわたってIUU(Illegal(違法)、Unreported(無報告)、Unregulated(無規制)漁業が問題となっています。SDGsには、こうしたICC漁業を終了させることも含まれており、行政や国際機関が、漁船の記録や取り締まり、情報共有に努めてきました。

しかし、ブリティッシュ・コロンビア大学の研究チームは、2013年、中国が国連食糧農業機関に報告する漁獲量が、1桁以上も過少に報告していると発表しました。漁業行為というのは、国際法と現地法が混在していることから、グレーゾーンも多く、監視が難しい領域になっています。

その安さの背景にあるのは

日本には日常的に魚を食べる文化があり、国内だけでなく、海外からも多くの魚を輸入しています。わたしたちが普段おいしく食べている魚も、もしかすると、イリーガルな乱獲や、生態系を破壊するなど、さまざまな犠牲の上に成り立ったうえで収穫されたものかもしれません。ひとりの消費者として、責任のある行動が求められています。

References:
CRSREPORT「China’s Role in the Exploitation of Global Fisheries: Issues for Congress」
European Parliment「POLICY DEPARTMENT STRUCTURAL AND COHESION POLICIES」
FCWC「Nigeria, others to boost global fish revenue by $32bn」
European Parliment「Role and impact of China on world fisheries and aquaculture」

TextHao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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