世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、6月1日に公開される映画『アニマル ぼくたちと動物のこと』をご紹介します。
「6度目の大量絶滅」を回避できるのか
地球温暖化をはじめ、さまざまな環境変化によってもたらされている、大規模な生物多様性の喪失。これを多くの科学者たちが「6度目の大量絶滅」だと問題提起をしています。
事実、過去40年間で、6割以上の動物が絶滅し、ヨーロッパに生息する飛翔昆虫の80%が姿を消したそう。シリル・ディオン監督は、『TOMORROW パーマネントライフを探して』の制作中にこの事実を知り、『アニマル ぼくたちと動物のこと』を撮るきっかけとなったそうです。
この地球規模の問題に対して、世界の平均気温の上昇を1.5℃に留めるための「1.5℃の約束」キャンペーンが、国連を中心として展開されていたり、日本国内でも自然生態系の損失を食い止めて回復させていく「ネイチャーポジティブ」を後押しする、「生物多様性増進活動促進法案」が可決されるなど、さまざまな動きが出てきています。
では、映画『アニマル ぼくたちと動物のこと』では、具体的にどのような問題提起がされているのでしょうか。
ふたりのティーンが世界を旅して見つけた答え
16歳の環境活動家、ベラとヴィプラン。気候変動と種の絶滅をテーマに、インド、フランス、ケニア、コスタリカなど、世界中のさまざまな現場や有識者のもとを訪ね、「絶滅を止める答え」を探し求めます。
作中では、まず種の絶滅の5つの原因である「気候変動」「侵略的外来種」「環境汚染」「乱獲」「生息環境の破壊」を学ぶことからスタートします。プラスチック汚染の現状や食用うさぎの養殖場など、さまざまな知見を得られる映像が続き、その情報量の多さは、一回観ただけでは追いつかないほど。
また、「人間が地球上でどう生きていくべきか」というメッセージも強く込められています。
環境破壊の原因となった「経済成長重視の指標」の替わりに、ウェルビーイングや幸福度を用いる提案がなされる場面は、深く考えさせられるものがあります。
近年、「気候不安」といったワードも登場しているように、多くの若者が、生物や人類の未来に絶望や不安を感じています。ただこの映画では、絶望だけでなく、希望となるような取り組みについても取り上げられています。
抗議活動やデモなど、自分たちにできるアクションに意欲的に取り組んできたものの、なかなか世間の理解を得られず、フラストレーションを抱えていたベラとヴィプラン。旅の最後に、ふたりが語る言葉は必見です。
人間も生態系の一部
「6度目の大量絶滅」は、人間の活動によって引き起こされているもの。だからこそ、ひとりひとりに関係がある問題であると、改めて認識させられる作品です。問題を単純化して環境保護だけを訴えるのではなく、地球に生かされているわたしたちの存在意義や目的を問いかけている点でも、興味深い作品になっています。ぜひ映画館でチェックしてみてください。
『アニマル ぼくたちと動物のこと』概要
2024年6月1日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
監督:シリル・ディオン
出演:ベラ・ラック、ヴィプラン・プハネスワラン、ジェーン・グドール 他
原語:英語、フランス語
原題:ANIMAL
配給:ユナイテッドピープル
105分/フランス/2021年/ドキュメンタリー
公式HP:https://unitedpeople.jp/animal/
References:
生物多様性とは?その重要性と保全について |WWFジャパン
生物多様性増進活動促進法案が可決 OECMへの期待と課題 |WWFジャパン
Text:kagari