「気になる10代名鑑」の705人目は、伊藤茜さん(17)。独学でデザインを学び、学生団体のロゴや、お店のポップアップイベントのポスターなどのグラフィックデザインを手がけています。「デザインを手段として環境問題を解決に導くことが目標」と話す伊藤さんに、活動を始めたきっかけや将来の夢について、聞いてみました。
伊藤茜を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れていることは何ですか?
「独学でデザインの勉強をしています。この数か月で本腰を入れたばかりなのですが、依頼を受けて、デザインを作成するようになりました。友達から誘われて所属した学生団体『キセキのはじまり』では、ロゴやイベントポスター、インスタグラムのフィード投稿をデザインして。あと、知り合いのお店が百貨店でポップアップをする際のポスターを制作しました。
また、環境問題の勉強もしていて、特に日本の森林が減少しているという実態や、その保全活動に興味があります。林業のいちばんの問題は木が売れないこと。そうすると森の手入れもできず、悪循環が続いてしまうそうなんです。国産の木材をより多くのひとに使ってもらうためには、まずその存在を知ってもらう必要があると思っていて。
わたしはデザイナーという立場から、その魅力を伝えていければいいなと思っていて。人と森の関わりという部分で、里山の歴史や文化にもとても興味があるので、文化を残すためにも、森を守ることが必要だと思うんです」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「小さいときから両親に連れられて、自然に触れたり、地域の生活や文化に触れたりしたことと、いろいろな大人との出会ったことが、いまのやりたいことに影響していると思います。また、両親の仕事の関係でデザイナーさんに会うことも多くて、小学生のときには自然と憧れるようになっていました。
環境問題に関心をもったのは、中学生のときに、環境問題にまつわる講義を受けたことがきっかけです。環境問題の存在は知っていたけれど、いまの現状を詳しく知って、かなりショックを受けて……。そこから、なるべく地球に負荷をかけない生き方をしたいと思うようになりました」
Q3. 活動する中で、影響を受けているものは?
「ひとり旅が好きで、これまでもいろんなところにひとりで行きました。ひとり旅のいいところは、すべてを自分でやらなきゃいけないところだと思っていて。一瞬一瞬のすべてが、自分の糧になると思うんです。
旅の目的は、“そこに暮らすひとに会いに行く”ということにしています。現地で直接話を聞けたり、心に残る言葉をもらえたりするのが、醍醐味のひとつ。偶然の出会いや出来事は、白地図を思い出で埋めているような感覚で、心が満たされるんです」
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Q4. 活動をする中でつらかったことを教えてください。
「中学3年生のとき、起立性調節障害という病気になって、生活がガラッと一変してしまって……。朝、起きれなかったり、立ちくらみや倦怠感があったり。あと集中力が続かなくなって、勉強ができなくなってしまったことが、つらかったです。それまでは、勉強や部活を毎日頑張っていたのに、いきなり思いどおりに動けなくなってしまって、戸惑いと不安が大きかったですね。
でも、学校に通えなくなって、時間ができたことを逆手にとろうと思って。旅をしたり、好きなことについて調べたり、いろいろな経験をするようにしました。いまもまだ症状があって、家から出られない季節もあります。ただこの病気のおかげで、本当に自分がしたいことや、するべきことが見つかったので、結果的にはよかったと思っています。大変なこともたくさんありますが、自分のペースで進んでいくつもりです」
Q5. 将来の夢は何ですか?
「まずはデザインの技術をもっと習得して、林業や森と関わる仕事をしたいと思っています。それから、コミュニティをつくったり、プロジェクトを立ち上げたりして、地方を盛り上げる活動や、文化を守るような活動もしていきたいです。地域の暮らしの中では、人に頼むほどじゃないけど、あると生活が豊かになるようなデザインへの需要がいろいろとあると思っていて。ひとに頼り頼られながら、地域に根ざしたデザイナーをめざしていきたいと思っています。
そして最終目標は、かっこいいおばあちゃんになることです!」
伊藤茜のプロフィール
年齢:17歳
出身地:東京都立川市
所属:N高
趣味:旅行、写真
特技:食レポ、ご老人と話すこと
大切にしている言葉:旅は人生の道標
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★note
Photo:Eri Miura
Text:Mao Kawasaki