「気になる10代名鑑」の717人目は、しはるさん(16)。STEAM教育に関する学校の部活動に所属し、環境問題へのハードルを下げるような活動に力を入れています。「環境への貢献をしない人の方が珍しいって言われるような社会をつくりたい」と語るしはるさんに、いま力を入れて取り組んでいることや将来の夢について聞いてみました。
しはるを知る5つの質問
Q1. いま、力を入れて取り組んでいることは何ですか?
「芸術や科学、技術などの5つ領域を融合的に学び、課題の発見と解決をする、STEAM教育について取り組める部活動が学校にあって。
その中で、わたしは『BunsugiGoGreenProject』というユニットのリーダーをしています。海洋問題や環境問題に対する活動をしていて、いまは課題へのハードルを下げるために、イベントを企画したり学校の仕組みに働きかけています。去年は主に学内での活動をしていて、ペットボトルの使用量削減のためにウォーターサーバーを設置したり、海洋問題について楽しく触れられるように、運動会とビーチクリーンを掛け合わせたイベントを開催しました。
それから、持続可能な社会の実現に向けた、サステナビリティのリーダーが集う『サステナブル・ブランド会議』にスチューデントアンバサダーとしてプレゼンテーションもさせていただきました」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「たまたま家に置いてあったSDGsについてのマンガを読んで、世の中には大きな問題がたくさんあることを知ったんです。
小さいころから、みんなが笑顔で毎日を過ごせるようになればいいなというのが、行動のいちばん根っこにありました。当時は、4歳から続けているバレエを通して笑顔を届けようとしていたのですが、具体的にどうればいいかわからなくて、少しモヤモヤしていて……。
中学1年生のときに、社会課題の存在やSDGsの関連の取り組みのことを知って、詳しく調べていくうちに、もっと直接的に問題を解決できることがしたいと思うようになったんです。それで、学校に新設された部活動の海洋問題について探求するグループに参加するようになりました」
Q3. 活動を通して、どんな世界をめざしていますか?
「誰もが、もっともっと気軽に、地球のための行動ができるような社会を実現させたいと考えています。
現状だと、環境問題に関心がある一部の人しかアクションできていなかったり、関心はあってもどうしていいかわからなかったりして、なかなかアクションを起こしづらいと思うんです。
もっとたくさんの人が、自然と環境問題に興味をもって、気軽に行動できるようにしたい。活動をしない人のほうがめずらしいって言われるような社会をつくることが理想です」
Q4. 活動をする中で、10代ならではの苦悩や困難を教えてください。
「こういう活動をしていると、『意識が高いね』とか『ヒーローみたいだね』とか言われることがあるんです。“こういう活動をしている人間は、どんなときでも環境にいいことをしている”とか、“環境についてのアクションは、特別な人にしかできないこと”って思われていることに、違和感を感じたんです。
環境問題を解決するためには、限られた誰かが頑張るんじゃなくて、みんなで協力することがいちばん大切だと思っていて。もっと当たり前に、環境への貢献をするような社会に変わっていってほしいと思っているのに、それが伝わっていないような気がしたんです。
わたしも活動をしているけど、すごいことをしているって思われないで、環境問題に対して、高校生らしく、楽しんで貢献しているって思われたほうが、嬉しいです!」
Q5. 将来の夢は何ですか?
「環境問題に対してのマインドを育てたり、子どもたちが自己肯定感をもって、自分の考えを自由に発信できるコミュニティを提供したいです。
いまの日本には、貧困のせいで夢を諦めなければいけないひとや、大人から価値観を押し付けられて、可能性を潰されてしまっているひとがたくさんいると感じていて。金銭的な事情や、大人からの言葉のせいで夢を諦めることは、すごくもったいないことだと思うんです。
だから、自分の夢を自由にもてるような環境やコミュニティをつくりたくて。そのために、まずはいまの活動の範囲を学校の外に広げてって、イベントに参加してくれるひとを増やす努力をしています」
しはるのプロフィール
年齢:16歳
出身地:東京都
所属:Earth Day Tokyo Youth、Acebora、文大杉並STEAMプロジェクト、BunsugiGoGreenProject
趣味:ギター、映画とドラマを見ること
特技:喋ること、プレゼンテーション、足のマッサージ、
大切にしている言葉:Live each day as if it were your last
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Photo:Eri Miura
Text:Mao Kawasaki