世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、YOASOBIやNumber_iといった日本のアーティスも多数出演したことで大きく報道された、アメリカの音楽フェス「コーチェラ・バレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル」についてご紹介します。
毎年4月に開催される、アメリカの大型音楽フェス『コーチェラ』
新潟県湯沢町の苗場スキー場で行われる大規模ロックフェス『FUJI ROCK FESTIVAL 』や、海外アーティストが多数来日する『SUMMER SONIC』、“ロッキン”の愛称で親しまれている『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』など、毎年、多種多様な音楽フェスが、日本各地で開催されています。
そうした音楽フェスの文化は、日本固有のものではありません。一般的に、ロックフェスのルーツとされる1954年の『ニューポート・ジャズ・フェスティバル』や1969年の『ウッドストック』などを生んだアメリカでも、さまざまな音楽フェスが開催されています。
特に4月は、世界屈指の規模で開催される野外音楽フェス『コーチェラ(正式名称:Coachella Valley Music and Arts Festival)』の季節です。カリフォルニア州で1999年から開催されているこのイベントには、毎年、世界各国から、その年の音楽シーンを代表するアーティストが多数出演。世界中の音楽ファンが、文字どおり“お祭り騒ぎ”となるほど、大きな盛り上がりを見せています。
世界中の人が見守るステージで、日本のアーティストが大活躍!
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そんなコーチェラは今年、4月12日~14日、19日~21日の計6日間にわたって開催されました。特に今回は、日本からYOASOBIやNumber_i、新しい学校のリーダーズ、Awich、初音ミクらが出演。アジアの才能を世界に発信するアメリカ発の音楽レーベル・88rising主催の「88rising Futures」ステージや単独ステージで、パフォーマンスをおこないました。
YOASOBIは4月12日の単独ステージと14日のMojavaステージに登場し、『夜に駆ける』Biri-Biri』『「アイドル』などを披露。また新しい学校のリーダーズも14日のMojavaステージに登場し、さらには同日のGOBIステージでは大トリを務め、代表曲「オトナブルー」などを披露しました。
同じく14日のMojavaステージに出演したNumber_iは、『FUJI』や『GOAT』を披露。3人のメンバーが、ダンスやラップのスキルをいかんなく発揮して、会場を沸かせました。
今年のコーチェラには、J-POP、ボカロ、アイドルなど、日本が独自に発展させてきた音楽ジャンルからアーティストがラインナップされました。こうしたアーティストの活躍によって、世界中の人々に「日本特有の音楽文化とその現在地」を知ってもらうきっかけとなったといえそうです。
アメリカの音楽フェスに、なぜ日本のアーティストが出演したの?
ところで、なぜアメリカの音楽フェスに、日本ならではの音楽ジャンルで表現を追求するアーティストが出演できたのでしょうか。
まず、大きな前提として、もともとコーチェラは、その歴史が始まった当初から日本人アーティストが出演を果たしてきた歴史があります。記念すべき第1回には、日本からCorneliusが出演。また、2018年にはX JAPAN、2019年にはPerfume、そして2022年にはきゃりーぱみゅぱみゅと宇多田ヒカルが出演しました。
そうした実績があったからこそ、今年も日本のアーティストが出演しやすかったという側面はありそうです。
そして、もともと“ロックフェス”の色合いが強かったコーチェラですが、2000年代からHIPHOPやダンスミュージックを主戦場とするアーティストも多数出演するようになり、2010年代にはダンスミュージックやHIPHOP、ポップミュージックのアーティストが大きな比重を占めるようになりました。
その結果、現在では「コーチェラ」といえばダンスミュージックやエレクトロニックミュージックに強い音楽フェスとして多くの人に認識され、「ポップカルチャーを世界に発信する中心地」としての立ち位置を確立しています。
ポップカルチャーといえば、近年だと、世界的なK-POPの広がりを無視することはできません。そんなK-POP人気の高まりから、アジア圏のポップカルチャーにも焦点が当たり、昨今ではコーチェラのような大規模音楽イベントに、韓国、中国、日本などアジア出身のアーティストが出演する機会が相次いでいます。だからこそ今年のコーチェラでは、日本を象徴する音楽ジャンルからアーティストが招かれたと考えられるのです。
この先も、世界の音楽フェスに注目してみると、アジアのポップカルチャーが世界でどのように評価されているのかを体感することができるかもしれません。
Text:Teruko Ichioka