Steenz Breaking News

どの国にも属さない、世界一人口密度が高いアフリカの島。 危険なのに移住者が増え続ける理由とは【Steenz Breaking News】

どの国にも属さない、世界一人口密度が高いアフリカの島。 危険なのに移住者が増え続ける理由とは【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカ最大のヴィクトリア湖に浮かぶミギンゴ島について、お伝えします。

世界一人口密度の高い島・ミギンゴ島とは

ウガンダ、ケニア、タンザニアに囲まれたアフリカ最大の湖、ヴィクトリア湖。そこには、「世界一人口密度の高い島」といわれているミギンゴ島があります。

サッカーコート4分の1ほどの大きさである1800平方メートルの小さい島に、500人以上の島民が住んでおり、さらに移住者も増えているそう。治安も良くないにもかかわらず、増え続ける人口。その理由は何なのでしょうか。

 

View this post on Instagram

 

A post shared by The Guardian (@guardiannigeria)

そもそも、1990年代初頭にビクトリア湖の水位が低下し始めるまでは、ただの岩だったミギンゴ島。島周辺の深い水域では、外来種のナイルパーチが多く獲れるとして、1990年以降にケニア人とウガンダ人の漁師が移住し始めました。

豊富な水産資源によって、当初は1日に約2万円を稼ぐこともできたのだそう。その噂が広まり、続々と周辺地域から漁師が移住し、たちまち小さな街ができあがりました。レストランやホテル、教会、薬局もありますが、この島にあるほとんどの建物はトタンでできていて、見た目はスラム街と同様です。どの建物も6畳ほどの面積で、地面が見えないほど密集しています。

このミギンゴ島は、数人の土地所有者が存在しており、引っ越してきた住人は、毎月1000円から5000円ほどの家賃を彼らに払う必要があります。生活インフラはほとんど整っておらず、飲料水や生活用水となる湖に、汚物も流されているのが現状です。

ほとんどの住民は男性の漁師ですが、漁に出ない女性の大半は仕事がないため、売春を始めることも多いのだそう。小さな島にも関わらず、男性の漁師を顧客にした売春宿も存在します。

ふたつの国の狭間で緊迫する島

ミギンゴ島はさまざまな問題を抱えていますが、最大の問題点は、領土問題です。ケニアとウガンダというふたつの国から近いため、周辺には両国の軍隊が駐在しています。ミギンゴ島がどの国に帰属するかは明確になっておらず、「島はケニアに位置しているが、漁はウガンダの水域で行われている」と言われるなど、領土問題は複雑化しているのが現状です。

また、海賊の問題もあります。近年、海賊によって漁師が襲われるなど、治安の悪さもエスカレートしています。こうした諸問題のため、観光客は訪問することができず、情報も少ないことから、ミギンゴ島の多くが謎に包まれた状態になっているのです。

これからも増え続ける人口

「魚が獲れる」という理由で、無人島から人口密度が世界で最も高い島になったミギンゴ島。しかし、現在は気候変動の影響もあり、その漁獲量は減少しています。それでもなお、本土より豊かな生活を求め、ミギンゴ島での生活を夢見る人は多く、リスクを抱えて移住する人も増えていくばかりなのです。

References:
NATION「How pirate menace gave birth to Migingo island ownership row

Text:Hao Kanayama

SNS Share

Twitter

Facebook

LINE

Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

View More