「気になる10代名鑑」の677人目は、黒澤諒さん(17)。ジェンダーステレオタイプのアップデートをめざし、メイクや美容の発信などをおこなう『re-make』プロジェクトを立ち上げ、現在は法人化を目指して活動しています。さまざまな起業プログラムに参加するなど、目標に向かってアクションし続ける黒澤さんに、活動する上で大切にしていること、ファーストアクションなどについて聞いてみました。
黒澤 諒を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れて取り組んでいることを教えてください。
「メイクへの考え方や外見、価値観を変えていきたくて、昨年の夏に『re-make』というプロジェクトを立ち上げました。
最近は、性別にとらわれることなく、誰もがメイクできる時代になってきたと思っていて。だけど、メイクに触れたことがない人にとっては、何から始めたらいいかわからないのが現状だと思うんです。
そこで、メイクに興味のある人たちが、もっと気軽にメイクの楽しさや美容について感じられたらいいなと思っていて。もうひとりのメンバーといっしょに、メイクに関する情報の発信しています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「自分自身が、ジェンダーについてのステレオタイプに苦しんでいたことです。男子校に通っているのですが、やっぱりそういう同質性が強い空間だと、男性らしさを求められるようなシーンがまだまだ多くあるんです。でも、全員が全員、いわゆるたくましさとか、男らしさのみたいなものを求められるのには、違和感があったんです。
ただ違和感を覚えるだけではなくて、どうしてその風潮が生まれているのかを考えて、変えていくべきだと思いました。それで始めたのが『re-make』プロジェクトです。メイクや美容の楽しさを伝えることはもちろんですが、ルッキズムやジェンダーステレオタイプのアップデートにもチャレンジしています」
Q3. 活動を始めるときのファーストアクションは?
「YouTubeやInstagramで、メンズメイクのアカウントをチェックしたり、メイクにかかわる検定のテキストを購入して勉強したりしました。メイクや美容について発信していく以上、まずは自分が正しい知識を身につけておく必要があると思ったんです。
勉強をしているうちに、友達から『肌荒れの治し方を教えてほしい』と相談されて。自分なりに勉強したことをアドバイスをしたら、その友達の肌が少しずつきれいになっていったんです。知識を活かすことで、人のためにできることがあるんだって実感することができて。
せっかくなら、より多くの人たちの役に立ちたいと強く思いました。また外見の美しさだけではなく、内面の美しさにも気を配る必要があると思っていて。姿勢や話し言葉も、改めて意識するようにしています」
Q4. 活動を続けている中で、印象的だった「出会い」「体験」などがあれば、教えてください。
「東京都が主催する高校生起業家養成プログラム『起業スタートダッシュ』に参加したことです。人見知りなので、最初は不安な気持ちでいっぱいで……。でも、課外活動に、いろんなアクションを起こしている積極的な同世代とたくさん出会えて、いい刺激を受けることができました。
その中には、メイクに興味をもっている人もいて。DMを送ってみたら、彼女も美容のジャンルで起業を考えていることがわかって。その彼女が、いまの『re-make』プロジェクトのもうひとりのメンバーです。
プロジェクトを進めていく上で何度も助けられているので、あのとき勇気を出して、プログラムに参加して良かったなといまでも思っています」
Q5. 今後の展望は?
「コスメブランドをもつことが目標です。ジェンダーや既存のメンズメイクのイメージにとらわれることなく、ナチュラルなメイクから少し派手なメイクまで、誰もが楽しめるようなブランドをつくりたくて。そのために、さまざまなプログラムに参加しながら、起業に向けたアクションを続けていきます。
最終的には、自分らしさやそれぞれの価値観が大切にされる社会になってほしいと強く願っています。特に外見については、ひとりひとりの悩みに向き合い、寄り添うことで、ありたい自分を見つられると思っています。それを実現するための手段が、メイクだと思っていて。
メイクには、その人の思考やその人らしさが映し出されます。メイクを通じて、誰もがありたい自分を表現できる社会をつくっていきたいです」
黒澤 諒のプロフィール
年齢:17歳
出身地:東京都国分寺市
所属:聖学院高校(Global Inovation Class)、東京都高校生起業家養成プログラム 起業スタートダッシュ養成講座、very50 MOG、very50 EGG
趣味:ヘアメイク、ハリーポッター鑑賞
大切にしている言葉:最高の勝利とは、自分の欠点を受け入れられ、ありのままの自分で生きられるようになったこと(オードリー・ヘプバーン)
黒澤 諒のSNS
Photo:Eri Miura
Text:Ayuka Moriya