「気になる10代名鑑」の657人目は、大泉結葵さん(18)。幼少期から子役として活動し、高校での舞台芸術の学びを経由して、現在は声楽の道を志して、声楽科への入学をめざして研鑽を積んでいます。5歳のときの不思議な体験がすべての活動の原点となったという大泉さんに、活動を始めたきっかけや今後の展望についてお聞きしました。
大泉結葵の活動を知る5つの質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「この3月まで、高校の舞台芸術科で、演じることや技術者として、舞台をつくることを総合的に学んでいました。現在は、藝大の声楽科への進学をめざして、歌のレッスンに通ったり、音楽の基礎的な技能を養うスクールに通ったりしています。
小さいときから子役として活動していて。そのころからずっと歌が好きで。高校進学のときも、音楽科への進学はずっと視野にあったんですけど、視野を広げたいという思いもあって、舞台芸術科を選択しました。
これまで学んできた舞台芸術とこれから進む声楽の道では、内容は違っているけど、舞台に立つと両方での学びを活かせるような感覚があります。そのどちらも存在しているところが自分の個性と言えるのかなと思っています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「とっても不思議な話なんですけど、5歳のとき、自分がテレビに出演している夢を見たんです。
夢の内容はいまでも鮮明に覚えていて。ただテレビに出ているだけじゃなくて、その撮影現場にいる光景が記憶に残っているんです。5歳なので、撮影現場の裏側の様子なんて、わかるはずないのに……。だから、自分でもすごい体験だなって思います。親いわく、その夢を見た後、泣いてやらせてくれと言ったらしいです。
そんな強烈な原体験があるから、ブレずにずっと続けてこられたのかもしれないです」
Q3. 影響を受けた作品はありますか?
「小学校4年生のときに出会った、ミュージカル『アニー』です。
子役としては、5歳のときに活動を始めて、小学校6年生まで続けていたんですけど、わたしは性格的にちょっと冷めていて、子どもらしい子どもではなかったので、かなり早い段階で、子役としてはあまり求められないなということをひしひしと感じていました。
でも『アニー』を観たとき、歌のレッスンが好きだったのもあって、『ミュージカルならできるかもしれない』『自分がやりたかったのは舞台で演じることだ』って思って。それから小学校6年生までの間に、2本ぐらい舞台に出させてもらったりしていました。
『アニー』に出会ったことで、総合芸術としてのミュージカルや舞台というものに、強く惹かれるように変わっていったんです」
Q4. 活動する中で、悩みはありますか?
「いまは声楽に向き合っているのですが、孤独感を感じる瞬間があります。
舞台だと、一緒に舞台に立つ相手もいるし、演出家が何を求めているかとか、他の人のことを考える場面が多くて。でも声楽は、自分がどういう演奏をするのかがいちばんに求められるので、それを考えるのはやっぱり孤独です。
親も音楽をやっていた人ではなかったので、迷ったときに、全部自分で切り開いていかなければならなかったのも、しんどかったですね。
でも、母の知人に鉛筆画家をされている方がいて、その方がわたしの音大受験の件で母に向けてメッセージを送ってくださったんです。その中で、わたしが進む道のことを『独り旅』と表現されたのがしっくりきて。救われたような気がしました」
Q5. 今後の展望は?
「特にこれだ!というのは決まっていないのですが、歌ったり踊ったり、体を使った表現ができるうちは、そういった活動がしたいと考えています。まずは藝大の声楽科に入って、そこでオペラをやる予定なのですが、そこでオペラにぞっこんになってしまったらその道に進むのも良いし、やっぱりミュージカルがいいなってなったら、ミュージカルを志すのもいいかな、と。
それとは別に、ゆくゆくは子役についての研究も行っていきたいと思っています。高校のテーマ研究で、日本の子役活動について調査していたのですが、当事者としての経験をもとに、幼いころから芸事やスポーツなどに取り組んできた子どもの発達過程や対人関係の問題に興味が湧いたんです。将来的には、自分の経験を活かして、そういった問題についても考えていきたいです」
大泉結葵のプロフィール
年齢:18歳
出身地:神奈川県横浜市
趣味:観劇、海に行くこと
特技:変顔
大切にしている言葉:悩むことより練習、普通がいちばん
Photo:Eri Miura
Text:Fuka Hagai