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アフリカの難民キャンプってどんなところ? ブルンジの難民キャンプをアフリカ在住のZ世代ライターがレポート【Steenz Breaking News】

アフリカの難民キャンプってどんなところ? ブルンジの難民キャンプをアフリカ在住のZ世代ライターがレポート【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今回は、アフリカ在住のライターによる、アフリカの難民キャンプの実態についてのレポートをお伝えします。

世界の難民の44%がアフリカの難民

国際問題のひとつとして、近年、さらに深刻化が進んでいる「難民」問題。最近でも、欧州連合(EU)域内に、移民や難民が殺到し、その対応に苦慮しているという。

「難民」と聞くと、アフリカの難民を想像するという人も多いのではないでしょうか。実際、アフリカの強制避難者(国内避難民、難民、亡命希望者)は3,600万人にものぼり、全世界のの44%に相当します。そのうち、難民キャンプに住んでいるのは400万人です。

アフリカにおいて、難民の数は、過去10年間ずっと増加し続けています。特に、難民の数が多い南スーダンは、国民の40%が難民化していると報じられています。南スーダンは、イスラム教徒のアラブ系と、キリスト教徒のアフリカ系が共存している、複雑な社会構造をもっており、歴史的にも紛争が続き、さらに長らく続いた独立政権によって、国軍と民主化勢力の対立も存在しています。

また、アフリカ大陸のほぼ中央に位置する中央アフリカ共和国も、難民の問題が深刻な国であり、全人口の27%が難民です。国内に14の反政府勢力がおり、日本の外務省も、全土に「レベル4:退避勧告」を出すほど、治安が悪化しています。

このように、アフリカ各国で、政治の不安定化や資源の取り合いが原因で、戦争や紛争が起き、結果として難民が生まれています。

難民はどんなところに住んでいる?

ウガンダに住む筆者も、いくつかの難民キャンプを訪れたことがあります。今回レポートする難民キャンプは、東アフリカの内陸部に位置するブルンジ共和国にあり、そこで暮らす難民は約9万人。ここには、隣国・ルワンダのジェノサイドの影響で迫害を受けた人々や、洪水などの自然災害から逃れてきた人などがいます。

また、一時期は難民として国外に避難をして、帰国した人たちも。これには、迫害から逃れた人や、反政府派として国から追放された人などが含まれます。2017年以降、UNCHRの支援のもと20万人以上のブルンジ難民が本国に送還されました。

難民キャンプは「IOM(国際移住機関)」に支援されており、IOMから支給されたポリエチレンクロスシート(ブルーシートの素材)を使った、ほったて小屋が並んでいます。ひとつの家庭に対して、ひとつの小屋と服や食器、穀物を中心とした食料が支給されます。

ひとつの小屋は6畳ほど。そこに、6人から10人ほどの家族が暮らしていることが多いです。筆者の訪れた家庭は、洪水によって家を失った難民でしたが、崩壊した家から洋服や棚といったわずかな所持品を持ってくることができたため、部屋には少しの洋服がありました。

トイレもシートで囲まれただけの簡素なもので、入浴(水浴び)も同じ場所で行います。水道や電気は通っていないですが、井戸があるため、子どもたちが水汲みをしていました。食事は1日1回支給され、その日はウガリ(とうもろこしの粉を練った主食)と豆を食べていました。

こうした暮らしぶりを聞くだけで、かなり困難な生活を送っているように感じるかもしれません。しかしこの難民キャンプには、さらに過酷な生活を強いられている難民もいます。

写真に映るテントは、IOMの支給する小屋に住めなかった難民が、自分たちで建てたものです。毎年発生する洪水によって家を失った難民が増加し続けているため、住む場所や設備が不足しているのです。廃棄物のブルーシートやトタンを使って建てられたものですが、風通しが悪く、日中は蒸し風呂のように暑くなります。4畳ほどの空間に大家族で住んでいることもあり、写真からもその狭さが伝わってくるのではないでしょうか。

増え続ける難民に、行き届かない支援

難民キャンプといっても、国連やNGOが支援できる範囲は決まっており、増加し続ける難民全員に、支援が行き届いているわけではありません。さらに、難民といっても、戦争から逃れてきた人だけでなく、天災によって被害を受ける人も多く、その数は留まるところを知りません。こうした実態は、日本のニュースなどで報じられることは少ないかもしれませんが、構造的な貧困問題によるものとも考えられるため、決して目を背けてはいけないことだといえます。

今回は、ブルンジの難民キャンプの様子をお伝えしましたが、難民といってもたくさんの人がいるため、多様化しています。そこで次回は、ウガンダで大きなコミュニティをもつ「お金持ち難民」の実態についてお伝えします。

References:
AFRICA CENTER 「Record 36 Million Africans Forcibly Displaced」
THE CONVERSATION「Most east African refugees are hosted close to borders – it’s a deliberate war strategy」
ReliefWeb「UNHCR Burundi Operations Overview, February 2023」

TextHao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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