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ハワイで観光客を対象としたグリーンフィーが導入される?各国で広がる環境税の取り組みを知ろう【Steenz Breaking News】

ハワイで観光客を対象としたグリーンフィーが導入される?各国で広がる環境税の取り組みを知ろう【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、グリーンフィーをはじめとする環境保護対策についてご紹介します。

ハワイで起きている環境問題。訪問客を対象としたグリーンフィーの導入を検討

温暖な気候と独自の文化に惹かれ、世界中から多くの人々が訪れるリゾート地・ハワイ。しかし、そんなハワイを取り巻く環境に、さまざまな問題が起きているのです。

例えば、気候変動による海面上昇。海水面が上がり砂浜が消失してしまうと、そこに暮らしていた生き物たちが行き場を失います。実際に、ハワイの固有種であるハワイモンクアザラシなど、さまざまな生物が、砂浜の減少により絶滅の危機に瀕しています。海水面が10cm上がると、ハワイにある多くの砂浜が消失するといわれています。

その他にも、温暖化が原因で起こる集中豪雨によって、地滑りや落石、土砂崩れなどが発生しやすくなっているそうです。

このような被害を軽減するために、ハワイでは「2045年までに再生可能エネルギーの比率を100%にする」という独自の政策を掲げるなど、州全体で問題解決に取り組んでいます。そして、2024年に新たな対策として提案されたのが「グリーンフィー制度」です。

グリーンフィーってなに?

グリーンフィーとは、簡単にいうと、観光客に対して料金を徴収する制度のこと。別名「環境保護税」や「環境保護料」とも呼ばれており、ニュージーランドやパラオなどでも採用されています。今回、ハワイの議会に提案されたグリーンフィー制度は、ホテルや短期賃貸住宅などに滞在する観光客に対して、ひとりあたり25ドルを徴収するという内容のもの。

提案者であるグリーン州知事によると、グリーンフィーによって、年間約6,800万ドルが確保できるようになるそうです。その資金を、ビーチの保護や防火帯、ハワイで頻繁に起きている山火事に対する軽減活動などに活用します。現時点でグリーンフィー制度の提案は、比較的多くの人々から支持を得ていますが、一方で観光客が減少するのではないか、と慎重な姿勢を見せる人もいるようです。

環境税の徴収をおこなっている国はほかにも

世界では、こうした「グリーンフィー」のように、環境保護を目的に来訪者から資金を徴収している国や地域が存在します。

日本の九州とほぼ同じ面積であり、北を中国のチベット、南をインドに挟まれた「ブータン王国」もその国のひとつ。「持続可能な開発料(SDF)」と呼ばれる観光税を、観光客から徴収しています。集まった資金の一部は、森林や山道の清掃を行うチームの活動費に充てられます。この清掃チームのおかげで、観光客が捨てたゴミを、環境破壊につながらないように、適切に処理できています。その結果、ブータン王国は、南アジアで唯一、年間の温室効果ガス吸収量が排出量を上回る「カーボン・マイナス国家」を維持しています。

また、インドネシア共和国のバリ島では、文化と自然保護を目的に2024年2月14日から、「外国人観光客徴収税」の導入を開始しました。観光客ひとりにつき15万ルピア(日本円:約1,420円)を徴収し、ごみ処理のための環境整備や交通整備、持続可能な観光地づくりのために活用しています。

この観光税の導入は、以前から観光客のごみ問題に悩まされていた現地に暮らす人々の声を、バリ州政府がインドネシア政府に伝えて、実現させたそうです。

各地で導入が検討されるグリーンフィー。どう思う?

「グリーンフィー」をはじめとする観光客を対象とした税徴収制度は、環境保護という明確な目的のもと、まとまった資金を確保できるという点では、良い方法だといえます。しかし、そこを訪れる観光客の立場としては、訪れるのが短期であることなどから、将来に向けた負担が強いられるのは、手放しでは喜べないという経済的側面があるのも事実。

このような、さまざまな人たちの意図や、観光の持続可能性などの観点もふまえて、今後の動きに注目していきたいところ。また同時に、観光という行為そのものに、環境破壊が伴われてしまっているという事実も、忘れないようにしましょう。

Reference:
オアフ島などで大雨による地滑りなどの被害が発生|alohastreet
2045年までに再生可能エネルギーを100%に―、ハワイが考える「環境問題」を学ぶ。平成29年度 環境教育海外研修報告|信州大学
The ‘Green fee’ for visitors is back in front of legislators — and this could be its year|HAWAIINEWSNOW
◆環境保護税(グリーンフィー)の値上がりについて|在パラオ日本国大使館
SB304 A BILL FOR AN ACT|STATE OF HAWAII
ブータン基礎データ|外務省
海外 各国/地域現地情報:ブータン基本情報|JAL
バリ州の外国人旅行者に対する観光税関連情報|在デンパサール日本国総領事館

Text:Yuki Tsuruda

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