世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、軍事クーデターが起きてから3年が経過したミャンマーの現状についてお伝えします。
民主派勢力との戦闘が激化
2021年2月1日、ミャンマーで軍事クーデターが発生しました。
クーデター発生当時は、日本のメディアでも頻繁に取り扱われていましたが、いまはもう、ニュースで見ることもあまりないですよね。しかし、ミャンマーではいまもなお、国民への弾圧が続いており、一部の地域では、国軍による無差別の空爆が行われています。対抗する民主派勢力が攻勢を強める中、犠牲者は増えるばかり。
いまミャンマーで、何が起きているのでしょうか。
4,500人以上が亡くなり、2万人以上が拘束中
ミャンマーの人権団体「政治犯支援協会(AAPP)」によると、2024年2月9日までに、国軍の武力行使によって死亡した市民の数は4,507人。さらに2万人以上が、いまだ拘束された状態です。
クーデターから丸3年となった今年の2月1日、日本の国会では、ミャンマー問題に関する会合が開かれました。会合には、ミャンマーの民主派が樹立した「挙国一致政府(NUG)」のウィンミャッエー人道問題・災害対策担当相も参加しました。
ウィンミャッエー氏は「ミャンマー国軍は国民を殺害し、無差別の空爆を繰り返し、村々を焼き払っている」と非難したうえで、「国民は忍耐強く、不当なクーデターに抵抗し続けています」と強調しました。
「国民の3分の1が飢えている」国際社会に訴え
同相はさらに、「いま、ミャンマー国民の3分の1にあたる人々が飢えた状態であり、食料を必要としています」と、その窮状を訴えるとともに、「国際社会はミャンマー国軍の非人道的な武力行使を知っているはずなのに、注目することが少ないのではないでしょうか。もっと注目してもらいたいです」と呼び掛けました。
具体的には、国際社会に対して、無差別な空爆を阻止するためにミャンマー国軍に燃料を販売しないことや、外貨稼ぎとして在外ミャンマー国民から税金を徴収する動きの防止を訴えています。
若者を対象にした徴兵の実施も
こうした内戦により、いまミャンマーには、約230万人の国内避難民がいると言われています。一方で、国連や東南アジア諸国連合(ASEAN)を通じた支援は、国軍を介しているため、必要な支援が避難民に届いていません。国軍ではなく、NUGを通じた支援が求められているそうです。
またミャンマーでは、昨年10月以降、国軍に対抗する民主派の武装組織や少数民族の武装勢力が、国軍との戦闘で優位な状況にあります。NUGは1月末、連携する少数民族勢力と共同声明を発表しており、国軍打倒に向けて協力していくそうです。
戦況が劣勢となり、国軍兵士の投降も相次ぐ中、ミャンマー国軍の焦りも見えます。国軍は今月10日、徴兵制を始めると発表しました。対象は、男性が18歳から35歳、女性が18歳から27歳の若者たち。こうした徴兵制が施行されれば、情勢はさらに混迷を深めそうです。
大切なのは、支援を風化させないこと。日本から声をあげる人も
ミャンマー国内での混乱が続く中、日本に避難してくるミャンマー人もいます。
東京・日暮里でミャンマー料理店「Spring Revolution Restaurant(SRR)」を運営するミャンマー人のレーさん。その故郷である、北西部ザガイン管区の町は、昨年11月に国軍による空爆を受け、町ごとなくなってしまいました。
レーさんは、「町が空爆される少し前に、なんとか母親を日本に連れてくることができました。しかしわたしの育った町も家も、もうなくなってしまいました。戻ることは難しく、どれだけの被害が出たのか、確認することすら難しいのです」と悲痛な胸中を話してくれました。
クーデターに抵抗するミャンマー国民を支援する目的で、2021年6月池袋に開業された「SRR」は、ビュッフェ形式でミャンマーの現地料理が楽しめるお店です。移転後のいまも、日本で暮らすミャンマー人やその支援者などのコミュニティが生ま
もう一度考えてみよう。ミャンマーでいま起きていること。
そうした中、今年の1月には、地震が発生した石川・能登へのチャリティービュッフェを実施。売上の約7万円を被災地に寄付したそうです。
レーさんは、「わたしたちが困っているときに、日本人は助けてくれました。石川の人たちも、ミャンマーを支援してくれていました。困ったときには、お互い助け合っていきたいです」と話してくれました。政治や経済のほか、文化面でも日本と深い交流を持つミャンマー。いま一度、わたしたちひとりひとりに何ができるのか、考えてみてはいかがでしょうか。
Text:Risako Hata