タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回のテーマは「読書」。近年はスマホの影響などで、”若者の読書離れ”といわれることもありますが、でもそれってホントなのでしょうか。さらに、人にオススメしたくなる本とは、どんなものなのでしょうか。そこで、4人のティーンに、これまで読んだ本の中でおすすめの3冊とその理由について、詳しく聞いてみました。
1. SERUCHOCOさん『同調圧力の正体』『ビジネス教養マネジメント』『瞬時に言語化できる人が、上手くいく。』
「読んで良かった本は、太田肇さんの『同調圧力の正体』です。きっかけは受験のためでしたが、学生団体を運営しているので、組織をつくるための知識やいまの課題について、解決策を言語化することに役立ちました。
遠藤功さんの『ビジネス教養 マネジメント(サクッとわかる ビジネス教養)』はタイトルのとおり、マネジメントを学ぶために購入しました。シンプルでわかりやすく、マネジメント初心者に読みやすいのでおすすめです。
荒木俊哉の『瞬時に言語化できる人が、上手くいく。』は、コミュニケーションを円滑に進められるようになるので、ぜひ読んでほしいです。知識がある人、経験がある人、地位のある人よりも、いかに言語化して魅力を発信できるかが、人とのコミュニケーションを築く秘訣だと考えていたので、すごく勉強になりました。この本を読んだおかげもあって、『SERUCHOCOと話すと考えが腑に落ちる!』とよく言われるようになりました」
2. わかやまちはなさん『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』『星を知らないアイリーン』『さよならクリームソーダ』
「イル・セサンの『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』がお気に入りです。いつもまわりの視線を気にして考えすぎてしまうわたしに対して、考えすぎてもいいんだよ、と肯定してくれるような一冊でした。ひとつひとつの解決方法が端的に書かれているので、読み返しやすく、心の安定剤になるのでおすすめです。
ジョージ・マクドナルドの『新訳 星を知らないアイリーン おひめさまとゴブリンの物語』もよかったです。児童文学ならではの夢と希望に満ちあふれた、ファンタジーな世界観で、一度読んだ後に何度も読み返してしまうような魅力があります。
額賀澪さんの『さよならクリームソーダ』は、爽やかなタイトルに反して、絵を描く人なら一度は感じたことのある、嫉妬や羨望が混ざったどろどろとした感情が描かれていて、共感できる一冊です」
3. 髙原大雅さん『プロジェクト・ヘイル・メアリー』『時生』『下町ロケット』
「SF作品をよく読みます。アンディ・ウィアーの『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、映画『オデッセイ』の原作者が書いた至極のSF作品で、ぜひ読んでほしい一冊です。どれを言ってもネタバレになりかねないので、とにかく読んでほしいのですが、起きたら多くの記憶を失った状態で、宇宙船と思わしき場所にいる男の旅の物語です。彼が人類の命運を握っているようで、ソワソワします。
東野圭吾さんの『時生』は、東野作品ではめずらしく、ファンタジー的な要素を強くもつ作品です。企業内での争い的な話の中に、緻密に練られた人と人とのつながりをグッと感じることができて、リピート必至です。
ドラマにもなった池井戸潤さんの『下町ロケット』も好きです。宇宙開発への情熱を感じまくってやる気が出まくる、最高の作品です。苦悩の中でもがきまくる人々の努力と戦う姿が鮮明で、フィクションながら、実際の現場を見聞きしているような圧倒的な解像度に仕上がっていると思います」
4. 山下彩夏さん『君たちはどう生きるか』『超訳ニーチェの言葉』『未来を変えるには 東大起業家講座に学ぶ新しい働き方』
「吉野源三郎さんの『君たちはどう生きるか』は繰り返し読んでいます。中学生のとき、課題図書で読んだのが最初ですが、これを読んで学んだ思想がいまもずっと生きていると強く感じます。社会の中で、膨大な数の人類の中で自分を見失わずに生きること、他者と関わり、社会生活を営むということ、さまざまな大事なことを教えてくれる一冊です。
高校の授業をきっかけに読んだ、白取春彦さんの『超訳ニーチェの言葉 』も、勇気をもらえた一冊です。特にニーチェが奴隷道徳を拒否してルサンチマンをやめ、超人になることをめざすという前向きな姿勢に影響を受けました。
『未来を変えるには 東大起業家講座に学ぶ新しい働き方』は、特に同世代におすすめしたい本です。東京大学の起業家講座である、アントレプレナーシップ教育デザイン寄附講座の講義録であり、村木風海さん、前田裕二さん、秋田智司さんなどの超有名な活動家や起業家の方が講演した内容がまとめられています」
小説からビジネス書、学術書まで、さまざまなジャンルの本が並ぶ結果となりました。10代にとって読書体験はきっと一生モノ。読書の参考にしてみてはいかがでしょうか。
Photo:Eri Miura
Text:Ayuka Moriya