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使われなくなった農地を再生し次世代につなぐ。耕作放棄地を活用した農業プロジェクト【Steenz Breaking News】

使われなくなった農地を再生し次世代につなぐ。耕作放棄地を活用した農業プロジェクト【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、耕作放棄地を活用した農業プロジェクトについてご紹介します。

耕作放棄地を活用した「EARTHING FIELD」が2024年より始動

茅ヶ崎発のエシカルマーケットを開催している「Earthing Market」は、NPO法人湘南スタイルと協力し、アーシングをしながら米づくり体験ができる「EARTHING FIELD」を、2024年に始動すると発表しました。

この「アーシング」とは、素足や素手で、直接大地に触れること。「耕作放棄地」の田んぼを活用しておこなう米づくりを通して、地球の恵みに感謝したり、自然の大切さに気づいたりするだけでなく、日本のあらゆる場所で問題になっている耕作放棄地の再生にもつながるプロジェクトです。しろきから収穫までを体験でき、バーベキューやワークショップなども計画中だそうです。

実は近年、「EARTHING FIELD」のように、耕作放棄地の再生に取り組む企業や団体が増えています。あまり馴染みのない言葉かもしれない「耕作放棄地」ですが、どのような土地なのでしょうか。

耕作放棄地って何?

耕作放棄地とは、田んぼや畑などの「耕地」で、1年以上、農作物の栽培を行っておらず、さらに再び栽培する予定のない土地のことです。耕作放棄地は、農家の人々の栽培する意思の有無で決まります。そのため、土地が農作物を栽培できる状態であったとしても、農家の人々に「この土地で農作物を育てよう」という気がなければ、耕作放棄地としてカウントされます。

農林水産省によると、昭和60年時点では、全国の耕作放棄地面積は13万haほどでした。しかし、平成2年以降から増加し始め、平成27年には3.9倍にまで増加しています。理由としては、農業従事者の高齢化や労働力不足、農作物の価格低迷などがあり、地域によっては鳥獣被害も原因となっているようです。

耕作放棄地が増えると、病害虫や鳥獣による被害がでたり、廃棄物が不法投棄されたりするなど、さまざまな問題を引き起こします。このような理由から、耕作放棄地の再生が急がれているのです。

耕作放棄地の活用は沖縄でも

沖縄でも同様に、農業従事者の高齢化や農薬による健康被害を理由に、農業を続けられない人が増え、耕作放棄地の拡大が問題になっています。そうした問題を解決し、農業従事者の雇用を守るために、株式会社バタフライピー研究所では、沖縄県内に存在する1万平方メートル(2022年時点)の耕作放棄地を活用し、マメ科の植物であるハーブの一種、バタフライピー(日本名:チョウマメ)の栽培を開始しました。

農薬や化学肥料に頼らない自然環境に配慮した栽培方法を採用していて、土壌の再生にも取り組んでいます。収穫も、手先を使って花を摘むという、比較的簡単な作業のため、高齢の農業従事者の負担も軽減。実際に、サトウキビの収穫が原因で体を壊してしまったという農家の方にバタフライピー栽培を提案したところ、自身の体調にあわせて収穫できると喜んでもらえたそうです。

ただ耕作放棄地を使って何かをするだけでは、根本的な解決にはならない場合も多く、バタフライピー研究所のように、耕作放棄地を活用しつつ、農業を続けられるようにするための工夫が必要でしょう。結果として、耕作放棄地の再生と農業問題の解決につながります。

耕作放棄地は、土地によって原因が異なります。そのため、それぞれの土地や状況に合った解決策が生まれ、取り組まれることを期待したいですね。また、参加型のプロジェクトも増えていますので、気になる人は挑戦してみてください。

Reference:
耕作放棄地の現状と課題|農林水産省
信調だより|農林水産省
耕作放棄地とは|千葉県

Text:Yuki Tsuruda

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Tommy

ライター

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