Steenz Breaking News

軒先の果物が地域の結びつきを強くする。「湘南のきさきフルーツプロジェクト」が始動【Steenz Breaking News】

軒先の果物が地域の結びつきを強くする。「湘南のきさきフルーツプロジェクト」が始動【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、ご近所づきあいの希薄化を解消する取り組みについてご紹介します。

全国的に問題となっているご近所づきあいの希薄化

少子高齢化に加え共働き世帯や単身世帯の増加などから、近年希薄化している、ご近所づきあい。株式会社ナビットが行ったアンケート調査(対象者:男女1,000人)によると、「近所の人について、どの程度知っているか」という質問に対して、「まったく知らない」と答えた人は18.1%、「顔や名前を知っている程度」と答えた人が36.3%と、交流の少なさが顕著です。

ご近所づきあいが少ないと、緊急時に助け合えなかったり、孤立感が増したりといったデメリットも多く、改善が急がれる問題のひとつになっています。

そのような背景を受け、神奈川県の湘南エリアでは、ご近所づきあいの活性化と自治型社会を推進を目的に、フルーツを活用した「湘南のきさきフルーツプロジェクト」が始動しました。

湘南のきさきフルーツプロジェクトとは

「湘南のきさきフルーツプロジェクト」とは、個人宅の軒先に実る、夏みかんやゆず、レモンなどといった未活用果樹を使って、地域の新たなつながりを生み出し、助け合える町づくりをめざす取り組みです。プロジェクトリーダーである「湘南サステナブルライフ研究会@湘南」を中心に、さまざまな団体や人々が参加しています。

活動内容は、「湘南のきさきフルーツ収穫隊」がおこなうフルーツの収穫や、調理や食事を通してつながる「湘南のきさきフルーツキッチン」としての活動、さらに商品開発や販売、ブランド立ち上げなど、多岐にわたります。

軒先にフルーツを植えている家では、「育ったけれど、食べきれずに腐らせてしまった」という悩みを抱えているケースもあり、「湘南のきさきフルーツプロジェクト」は、そのような未活用果樹を無駄にしないため、フードロスの観点からも良い取り組みといえるでしょう。

湘南のきさきフルーツプロジェクトは企業も注目

またこのプロジェクトは、公益財団法人トヨタ財団の2023年度 国内助成プログラムにも採択され、11月19日にはキックオフイベントを開催しました。当日は、自宅や実家にフルーツを植えている方や、フルーツを活用した料理や調味料に興味のある方などが集まりました。

イベントでは、活動内容の詳細やディスカッション、プロジェクトのロゴの発表などがおこなわれました。なかでもディスカッションでは、飲食店コラボによるフルーツを使用したメニューの提供や、フルーツの品評会の開催など、多様でユニークなアイディアが出たそうです。

時代に合った「ちょうど良い」ご近所づきあいをめざして

近年、希薄化するご近所づきあい。政府が発表した「地域での付き合いの程度に関する意識調査」においても、都市・地方問わず、ご近所づきあいの程度は減少傾向にあることがわかっています。

減少の理由も、SNSの普及や時代の変化、防犯面などさまざま。しかし減少しすぎると、孤立化して、心身の不調につながったり、いざというときに助け合えなかったりするため、時代に合ったちょうど良い距離感での付き合い方を見つける必要があるでしょう。「湘南のきさきフルーツプロジェクト」のような取り組みが広がっていくとよいですね。

Text:Yuki Tsuruda

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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