世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、インドネシアで開発された、食べられるパッケージ「BIOPAC」をご紹介します。
深刻化するプラスチック海洋ごみ問題
毎年、800万トン以上が海に流れ出ているといわれるプラスチックごみ。海を漂うプラスチックごみの数は、銀河系の星の数よりも多いと予想されています。
海に流れ出たプラスチックは、海流や波の衝撃、紫外線などによって劣化し、マイクロプラスチックと呼ばれる小さな破片になります。その破片を魚をはじめ、海洋生物が食べてしまいます。それが生態系に影響を与えるだけでなく、わたしたち人間も、その破片を食べてしまう可能性もあるのです。
このように、あらゆる生命にも大きく関わっているプラスチックの廃棄物汚染問題。この問題に立ち向かうために開発されたのが、インドネシア発の食べられるパッケージ「BIOPAC(バイオパック)」です。
食べられるパッケージの正体は「海藻」
インドネシアの大学で講師として働いていたノーリヤーワーティ・ムリョーノさんによって開発されたBIOPACK。その原料は「海藻」。もしも海に流れたとしても、魚が食べてくれます。
インドネシアでは、海藻が年中豊富に収穫できるにもかかわらず、使い道がなく、生産過多になっているとのこと。そのため、BIOPACKの生産は、多くの海藻農家の支援にもつながります。
製造過程においても、環境負荷の低いプロセスで製造しており、水の使用を最小限にとどめ、化学物質は不使用、廃棄物も出ません。
BIOPACKが環境問題に貢献するのはもちろん、人にも優しいといえます。海藻が原料であることは、アレルギー性食品や動物性食品を含まないということ。アレルギーのある方やヴィーガンの方も、安心して食べることができます。
あなたなら、食べられるパッケージで何をつつむ?
BIOPACKは、着色や印刷・厚さの調整が可能。インクまで海藻からつくられているという徹底ぶりです。そのため、さまざまな用途に広がっていく可能性を秘めています。
例えばピクニックへ行くとき、パンやおにぎりの包み紙にすれば、そのまま食べることができるため、ゴミを持ち帰る必要もありません。
さらに、熱いお湯をかけると溶けるという性質を持っています。コーヒーやお茶、スープなどのパッケージにも利用すれば、そのままパッケージごと溶けてくれる優れものです。
BIOPACKは2023年4月より、正規輸入代理店・ModernR合同会社によって、日本での販売・受注が始まっています。飲食店はもちろん、ホテルのアメニティーやカトラリー、ギフトラッピング、石鹸や入浴剤のパッケージなど、あらゆるものに使用可能。今後、さまざまな場面でBIOPACKを目にするかもしれませんね。
多くの可能性があふれている「BIOPACK」、あなたなら何を包みたいですか?
Reference:国際連合広報センター「やめよう、プラスチック汚染」
Text:Tommy