「気になる10代名鑑」の595人目は、ソフィアさん(17)。中学生のときにものづくりの楽しさを知り、いまは製薬に興味を持ち、医療と植物という観点から、高校で研究活動に邁進しています。誰かのためになる発明をしたいという一貫した考えで活動するソフィアさんに、活動のきっかけや最近の挑戦について聞いてみました。
ソフィアの活動を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れている活動は?
「主に化学分野の専攻で勉強をしています。授業の半分が専門科目で、1週間のうち4時間かけて実験をしています。授業で学んだことを実験というかたちで体験できて、知識だけではなく実践的な技術を身につけられるんです。
大学との連携で、大学教授の化学の専門分野まで掘り下げて教えていただくこともあり、ありがたい環境だなと思っています。今年参加したサマーキャンプで、大学生、高校生と交流した中で、『足るを知る』という言葉を学び、この言葉を大事にしながら、こうして好きなことができていることへの感謝を忘れないようにしています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「もともと、ものづくりが好きで、小さいころから段ボールやからの牛乳パックを使って、おもちゃをつくってみんなで遊んでいたんです。それがだんだんと発展して、中学1年生のとき、レインポンチョにもなるランドセルカバーを開発し、2023年には特許を取得しました。この開発が世界青少年発明工夫展』の金メダルも受賞し、都知事を表敬訪問したこともあるんです。
自分だけじゃなくて、誰かの役に立つものを自分でかたちにすることができればいいなと思っていて。日常生活に目を向けてみたとき、家族が使っていた塗り薬の効果を間近でみてきて、『薬ってすごいな』と思うこともあって、製薬にも興味がもち始めました。
みんなのためになるものを創り出すことを目標にして、実践的にものづくりを研究できる環境を幅広く探した結果、この学校で学ぶ化学分野にたどり着きました」
Q3. 活動をしている中で、印象的な出会いは?
「一緒に勉強をしている友人です。勉強している内容が、かなりレベルが高いのでけっこう大変で……。やっぱり、教科書以外の範囲を扱う実験では、確かな道筋が見えてこないことも多くて。その中で、期限内にレポートを書いて提出するというルーティンをこなすためには、やっぱり友人との助け合いが大事だなと。お互いにわからない部分を質問して教えあったり、資料を共有しあったりしています。
それに、大変なときに、自分だけじゃなくて、一緒に勉強を頑張ろうと励ましてくれる存在にすごく救われるんです。本当に大切にしていきたいと思います」
Q4. 最近の挑戦は?
「『ICR』という国際研究のプロジェクトに参加していて。そこではフィリピンの高校生と交流しながら共同研究を行っています。チームのみんなが共通して興味がある医療分野と、身近にある植物を組み合わせた研究を行っています。分業しながら研究を進めているのですが、それぞれの結果にちゃんと相互作用があることを確認できたときは、つながりを感じて嬉しくなります。遠く離れたチームメンバーとは、英語でコミュニケーションしています。日常会話はまだしも、専門用語はなかなか難しくて大変ですが、頑張っています。
プロジェクトに参加すると、普通に過ごしていたらめぐり会えないような思いがけない機会に恵まれることもあって。この間は、研究のために、あまり流通していないような果物を採りに、農園まで行きました。そこの農園で働く人と会話をして、もっと知識を深めることもできて貴重な経験になりました」
Q5. 今後の展望は?
「 高校3年生になると、独自の研究を進めるカリキュラムが始まるので、引き続き、医療と植物について研究していきたいと思っています。
将来は、薬剤師に興味があります。中でも、植物を使っていろいろな効果を生み出す、東洋医学の漢方について、もっと研究してみたいです。医療と植物の可能性を知って、自分の将来の道にしていきたいと思えたのは、やっぱりプロジェクトに参加したから。ご縁を感じます。これからも積極的に、いろんなプロジェクトに参加したいと思っています」
ソフィアのプロフィール
年齢:17歳
出身:東京都
趣味:音楽鑑賞
特技:歌
大切にしている言葉:一期一会
Photo:Eri Miura
Text:Chihiro Bandome