世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカで行われている、コーヒー栽培による国立公園再生プロジェクトについてご紹介します。
日本のコーヒー需要とコーヒー産地の多いアフリカ
愛好家にも支持されるコーヒーマシンを販売するデロンギ・ジャパンが発表した「コーヒーの飲用調査 2022年度版」によると、日本人の1日のコーヒー飲用量の全国平均は1日あたり2.11杯だそうで、最も多い県は栃木県の2.39杯。ブラック派は東北と北陸に多く、ミルク派は関西圏に集中しているようです。
このように日本中で愛されており、わたしたちの生活に欠かせない存在ともいえるコーヒーですが、その多くは、アフリカ地域の国々で生産されています。有名なものとしては、タンザニア産のキリマンジャロやエチオピア産のモカがあり、飲んだことがある人も多いのではないでしょうか。
そんなコーヒー豆の生産が集中するアフリカで、近年新たに注目されている国が、モザンビーク共和国です。そこでは、コーヒー栽培が「ある問題」を改善するカギとなっています。
内戦によって壊滅的な被害を受けたモザンビークの国立公園
モザンビークの中心部にある、広大な「ゴロンゴーザ国立公園」には、ゾウをはじめ、ライオン、アフリカスイギュウ、カバ、オグロヌーといった大型動物が数多く生息しています。しかしこの広大な子公園は、1977年から1992年にかけて起きた内戦で、豊かな自然が破壊され、多くの動物たちの命が奪われました。その被害を受けた生き物の中には、「ピグミーカメレオン」のような、貴重な地域固有種も含まれていたそうです。
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内戦が終結した後、ゴロンゴーザ国立公園の豊かな自然を取り戻すために、さまざまな取り組みが行われてきました。ただ、公園内で暮らす人々のコミュニティに、こうした取り組みの重要性を理解してもらうことは簡単ではなく、自然の再生は困難な試みでした。しかしそんな中、着実に成功へと向かっている取り組みが生まれており、その鍵こそがコーヒーだったのです。
国立公園の再生をめざす「ゴロンゴーザ・コーヒープロジェクト」とは
「ゴロンゴーザ・コーヒープロジェクト」と名付けられた取り組みは、公園内に暮らす住民たちに、コーヒー豆の持続可能な生産方法などを教え、一緒に植える在来種の木の苗も提供。これにより、森林再生に加え、コーヒー農園が日陰をつくったり防風の役割を担ったりと、多様なメリットが生まれています。木々が増えることによって、二酸化炭素の吸収量も多くなり、気候変動対策にもつながるでしょう。
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また、コーヒー栽培やその他の関連事業では、地域住民の雇用を生み出し、収入の安定化にもつながります。その結果、たった10組の家族からスタートしたプロジェクトが、10年間で1,000組まで増加。コーヒー農家はもちろん、焙煎業者、ピッカー、テイスターなど、コーヒーにまつわる仕事で、多くの人々が職を得ることに成功しました。
そうして生み出された売り上げの一部は、学校の建設や教師の育成にも使われ、学校でも女性の学業推進や児童婚の防止などに重点を置き、女性たちを守る場としても機能しているそうです。
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さまざまな問題の解決を狙う
多様なメリットを生み出す「ゴロンゴーザ・コーヒープロジェクト」には、森林再生はもちろん、コーヒー業界が抱える貧困や、アフリカで大きな懸念となっているジェンダー問題などの解決も期待できます。このプロジェクトが今後どのように展開し、さらには他の国や地域にも広まっていくのか、注目したいですね。
Reference:
10月1日はコーヒーの日【コーヒーの飲用調査 2022年度版】約3割がこの1年で「おうちコーヒー」頻度増加と回答!「自宅で淹れたコーヒーを持ち歩く(約3割)」意向の理由1位は「物価高騰(44.0%)」|PRTIMES
アフリカ産コーヒーとの新たな出会い|日本貿易振興機構(JETRO)
Mozambique’s trailblazing Gorongosa Park celebrates 60th anniversary, announces 60 new schools (commentary)|MONGABAY
Sustainable Coffee Production in Gorongosa National Park|UNOSSC/UNDP
Text:Yuki Tsuruda