世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、廃棄プラスチックから生まれたオリンピック会場の座席についてご紹介します。
オリンピックの環境負荷軽減に貢献。廃棄プラスチックから生まれた椅子
2024年夏に開催される、パリオリンピック・パラリンピック。いまから楽しみにしているという人も多いのではないでしょうか。この大会では、競技はもちろんですが、サステナビリティという観点でも、注目したいポイントがあります。
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— ArchiAdvisor (@ArchiAdvisor) April 20, 2023
そのひとつが、競技場の「座席」。会場となるポルト・ドゥ・ラ・シャペルのアリーナや、サン・ドニのオリンピック・アクアティック・センターなどでは、廃棄プラスチックをもとに製造された11,000個の座席を設置。材料となるプラスチックは、地元で廃棄されたものを使用しています。
パリのリサイクル会社や建設会社が、街中の廃棄プラスチックを回収してチップ状に加工。その後、加熱や圧縮、研磨などの工程を経て、座席製造を行うパートナー企業に送られます。実は、この廃棄プラスチックを使う計画、もともとは座席の材料不足が理由で、廃棄プラスチックに切り替えざるをえなかったことが始まりでした。しかし、そのおかげで、エネルギー消費の削減や新たな廃棄物の発生を抑えることにつながると期待されています。
プラスチックは地域住民も協力して集めたものを使用
材料の収集には、パリに住む人たちも協力しています。椅子の製造に必要な廃棄プラスチックの8割が、パリ郊外に位置するセーヌサンドニ地区に設置された黄色いゴミ箱に集められたもの。
また地域の学校では、座席をつくるためにペットボトルキャップの回収が呼びかけられ、約500万個にのぼる、色とりどりのキャップが集められました。自分が持ってきたペットボトルキャップが、オリンピック会場の座席になるのは、子どもたちにとってもいい思い出になりますし、同時に、リサイクル意識の向上にもつながります。このように、フランスでは国民とともに、オリンピックへの準備を進めています。
パリオリンピックのサスティナビリティは食事にも
オリンピック・パラリンピック競技大会招致では、「大会で排出される二酸化炭素量を前回の半分にする」「責任ある生活様式を促進する」ことが重要視されました。そのため、パリオリンピック・パラリンピックでは、こうした座席以外にも、その点に配慮した運営が行われます。
例えば、食事。選手や観客、運営スタッフなど、大会に参加する全員のケータリングに対して、6つの約束を決めました。その内容は、「4週間で提供される1,300万食の、平均二酸化炭素の排出量を半分にする」ことや、「使い捨てプラスチック量を半分にする」「製品の80%を、地元またはフランス国内で調達する(会場から 250 km 以内)」などが含まれています。さらに詳しく知りたい人は、国際オリンピック委員会の公式サイトを覗いてみてください。
4年に1度開催される、世界的なスポーツの祭典。近年では、持続可能性や人と環境への配慮を意識した運営にも力が入れられています。国際大会となると、ついついその勝敗や結果ばかりに目を向けがちですが、環境に対して、どういった取り組みがされているのなどにも、ぜひ目を向けてみてください。新たな発見や、オリンピックの楽しみ方につながるかもしれません。
Reference:
Paris 2024 puts sustainability on the plate|International Olympic Committee
Paris Olympics to give waste a second life with recycled plastic chairs|euronews
2024 Paris Olympics Will Use Recycled Plastic for Seats|Tomorrow’s World Today
Text:Yuki Tsuruda