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アフリカで終わらない紛争。 米軍の存在はアフリカ地域において抑止力となるのか【Steenz Breaking News】

アフリカで終わらない紛争。 米軍の存在はアフリカ地域において抑止力となるのか【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、ソマリアでの終わらない紛争から見る、アフリカの紛争と米軍駐留との関係ついてご紹介します。

世界最貧国の1/4を支配するテロ組織

「アフリカの角」と呼ばれるソマリア連邦共和国。現在は、国際テロ組織・アルカイダの関連組織であるスンニ派過激組織「アル・シャバブ」によって、国民生活が危機に晒されています。ソマリアの1/4の地域を支配している「アル・シャバブ」は、市民や政府関係者をターゲットにし、多くの罪のない市民を犠牲にしてるため、「アフリカで最も人を殺している過激派組織」とも言われています。

米軍はアフリカ地域において紛争を抑止できている?

国際社会は、年間10億円をソマリア政府に支援していますが、政府は長らく国を統治できていません。このガバナンスが効いてない同国において、大きな影響をもつのがアメリカです。「世界の警察」とも呼ばれるアメリカは、世界45か国、計514の地域に基地を保有し、海外に駐留する兵士は45万人以上います。「9.11アメリカ同時多発テロ事件」以来、アメリカはアフリカでの軍事ネットワークを構築し始めました。現在、アフリカには、13以上の国において軍事基地を保有し、2000人の米兵がアフリカの40か国で訓練に携わっています。

ソマリアでも、「9.11アメリカ同時多発テロ事件」を起こしたアルカイダの関連組織のアル・シャバブの支配地域であるということもあり、米軍の活動も活発化しています。テロ組織を制圧するために、「AMISOM (アフリカ連合の多国籍治安部隊)」やソマリア軍と共同で動いています。テロ対策や特殊部隊による襲撃の訓練に加えて、訓練機材や航空機材も数億ドル支援しています。

アル・シャバブにとって、最大の敵は米軍であるともいわれており、2021年に米軍がソマリアを撤退した際には、アル・シャバブによる虐殺が起こるのではないかとも恐れられていました。しかし、2022年より米軍のソマリア再駐留が決まり、「ソマリア軍が自分たちで戦えるように」訓練が継続されています。

しかし、米軍による軍事作戦による民間人の犠牲も問題となっています。近年、アル・シャバブの支配地域で、米軍の無人機と有人機による空爆は記録的な数となり、2019年は週に1回強、攻撃を繰り返していました。その中で、民間人の犠牲も増え、死傷者も多く出ています。しかし、現地に住む被害者が米軍から賠償を得ることはほぼ不可能ですし、米軍は国際犯罪にあたるこの行為を調査し、その責任を果たすべきです。

さまざまな目的が交差するアフリカ

ISISやアルカイダの分派は西アフリカにもその影響力を強めています。イスラム過激派と呼ばれるこれらのグループは、アフリカ大陸において2010年からわずか9年間で400%増加しました。これらのグループに関連した暴力事件は、2019年だけで3,471件も報告されています。

現在、このような事態に対応するため、ロシアをはじめとするさまざまな外国勢力が軍事基地をアフリカへ設置しています。表向きは軍事活動のためだとされていますが、実際のところ、急成長するこの大陸で、商業目的やアフリカ諸外国の利権を奪い合う外交戦で、優位に立つためであるとも考えられます。

米軍はソマリアで10年以上、過激派との戦いを続けてきましたが、アフリカにおけるアル・シャバブの脅威は消え去るどころか、さらに高まりを迎えています。アメリカも数十億ドルの拠出をはじめ、多くの犠牲を払っていますが、ソマリアを危険にさらすテロや貧困の根本的な解決策として、本当に軍事介入が必要なのか、考え直す必要があるでしょう。

Reference:
BASE STRUCTURE REPORT – FISCAL YEAR 2018 BASELINE
THE CONVERSATIONS「Why foreign countries are scrambling to set up bases in Africa」
The Intercept「Pentagon’s Own Map of U.S. Bases in Africa Contradicts Its Claim of “Light” Footprint」

Text:Hao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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