世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカに暮らす人たちのスマホ事情の第2弾として、現地在住ライターのレポートをご紹介します。
アフリカに暮らす人々のスマホ事情、気になりませんか?
前回に引き続き、今回もウガンダの人々のスマホの使い方についてお伝えします。筆者の住むウガンダで、周囲の友人たちに「スマホで何をしているの?」という疑問をぶつけ、その中身を覗かせてもらいました。スマホが普及したことによって、わたしたちの暮らしにも変化があったように、ウガンダでの暮らしにも大きな影響がありました。もしかしたら、あなたのアフリカのイメージがアップデートされるかもしれませんよ!
全財産をスマホで管理するのが当たり前?アフリカで広がるモバイルマネー
ウガンダのみならず、東アフリカ全域で、ほぼ全員が利用しているといっても過言ではないのが、モバイルマネーです。モバイルマネーとは、インターネットを必要とせず、携帯電話の回線さえあれば、決済や送金が可能なサービスのこと。携帯電話さえ持っていれば、銀行口座をもっていなくても使用することができます。
街中には、キオスクなど、モバイルマネーが使えるお店がたくさん見られます。スマホの種類に限らず、オンライン上での送金や振込みができるのも、東アフリカの人々には大きな魅力で、電気代や家賃といった生活に関わる固定費や、タクシーの支払いなどにも、幅広く使われています。
ここまで普及率が高い理由は、利便性ももちろんありますが、安全性というのも重要なポイントです。治安がいいとはいえないアフリカでは、現金を家で保管して、使う分を持ち運ぶよりも、オンライン上で管理するほうが安全だと考える人が多いのです。加えて、貯蓄の文化が存在しないアフリカでは、そもそも銀行を信頼していない人が多いといわれています。そのため、銀行口座をもたずに使える、モバイルマネーが浸透したのではないでしょうか。
さらに、アフリカの電話料金やインターネット料金は、1日限りから週額、月額などと期間を決めて、使うぶんだけを支払うことが可能です。1日1ドルの収入で生活している人も多いこの国で、「その日に払えるぶんだけ携帯代を払う」システムが浸透しています。
新しい仕事探しはすべてスマホから
続いて、インタビューを通してわかってきたのは、仕事を得るうえで、スマホが必須になってきているということです。
THE WORLD BANKのデータによると、ウガンダの大学進学率は、わずか5%。企業の数が少なく、会社と雇用契約を結んで働く「サラリーマン」は多くいません。そのため、どの産業に従事していても、個人事業主として仕事をするのが主流です。こういった状況だからこそ、個人のスキルや経験を売り込むことが必要になります。
音響エンジニアの友人は、仕事でわからないことがあったとき、「YouTubeで検索すればすぐにわかる」と教えてくれました。また、グラフィックデザイナーの友人は「Pinterestでデザインのアイディアを得る」と話していました。
彼らは情報収集やリファレンス集めだけでなく、InstagramとFacebookを活用して、仕事自体も見つけていると言います。就活イベントや就活サイトがほとんど存在しないアフリカの国だからこそ、仕事探しで最適なのがソーシャルメディアでした。彼らにとってソーシャルメディアは、収入を得るために、自分を売り込み、ブランディングする場でもあるのです。
国際結婚を求めて広がるデートアプリ
さらに調べを進めるについて、意外にも多くのウガンダ人が利用しているのが、デートアプリでした。
ユニセフの世界子供白書2017によると、ウガンダの初婚年齢は低く、18歳までに結婚する女性が4割にのぼります。しかし、そんな国ではありますが、貧困から逃れるために国際結婚を求める人は多く、外国人との出会いを求めてデートアプリを使用する人も多くいるのです。加えて都市部では、以前に比べ、親元を離れて自立して生活する女性も増えているため、恋愛結婚が浸透してきている……そういった背景での普及だと考えられます。
とはいえ、ウガンダでも農村部ではお見合い婚の文化がいまでも根強く残っていますし、ウガンダには56の民族が存在しており、民族意識が高いことから、異なる民族間の結婚を許さない家庭も存在します。
スマホ普及によってアフリカの人々の暮らしも変わっている
いまは、マサイ族もTikTokでマサイのダンスを載せている時代です。インタビューを通して、スマホがアフリカの人々の生活に大きく影響していることがわかりました。今後、さらなるスマホの普及によって、どのようにアフリカに暮らす人の生活が変化していくのか、注目したいところです。
Reference:
WORLD BANK OPEN DATA「School enrollment, tertiary (% gross) – Uganda」
FNSチャリティーキャンペーンによるユニセフ協会|日本ユニセフ協会
Text:Hao Kanayama