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埋葬にもエコの流れ。水を使った新しい埋葬法「水火葬」とは?【Steenz Breaking News】

埋葬にもエコの流れ。水を使った新しい埋葬法「水火葬」とは?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、火と水を使用する埋葬法、「水火葬」についてご紹介します。

環境への配慮は埋葬方法にも

食やファッション、ライフスタイルなど、衣食住のあらゆる場面で、環境に配慮した取り組みが行われています。わたしたちの日常生活でも、フードロス削減のためのアクションや、量り売りの利用など、日ごろから心がけている人も多いですよね。

そしていま、亡くなった人を弔う「埋葬」においても、環境に配慮した動きが広まっています。

日本では、ほとんどの場合、火葬が行われます。土葬する場合もありますが、2021年度に厚生労働省が行った調査によると、99.97%が火葬でした。このように、当たり前となっている火葬ですが、1回の火葬で、約250kgものCO2が排出されると言われています。また、人工物を燃やすことで発生する有害物質を問題視する声も上がっています。

そんな埋葬法の新しい選択肢として注目されているのが「水火葬」です。

温室効果ガスの発生量は従来の3分の1に

水火葬は、「リソメーション」や「アクアメーション」、「アルカリ加水分解」などと呼ばれる、アメリカで考案された比較的新しい葬送方法です。

水酸化カリウムと加圧水で満たした専用容器に遺体を入れ、その後150度で約4時間加熱。すると人体は溶け、骨と人工物だけが残ります。残った骨は乾燥後に粉砕され、遺族の元に返されます。水火葬を行った後に残るのは、無害な無菌水だけ。下水処理場に運ばれ、処理されます。水の使用量は1回の水火葬で約1000Lで、5人家族が1日に使用する水の量と同程度です。

また、従来の火葬と比較すると、温室効果ガスの発生量は約3分の1、電力などのエネルギー消費量は約7分の1です。この点からも、水火葬は地球にやさしい埋葬法だといえるでしょう。

水火葬は、1984年にノーベル平和賞を受賞した、反アパルトヘイトの人権活動家、デズモンド・ムピロ・ツツ氏が選んだことでも話題になりました。生前、地球温暖化に強い懸念を抱いていた本人の意思により、行われたとのことです。

水火葬は将来、埋葬法の選択肢のひとつになるか

この水火葬、日本ではまだ許可されておらず、法律的なハードルがあるとされています。しかし世界を見ると、カナダや南アフリカ、アメリカの一部の州ではすでに合法化されており、そして今年、イギリスで初めて実施される予定です。また年内には、アイルランドでの実施も始まる可能性が高いともいわれていて、今後、世界各地で導入が検討されています

もしかすると、今後、この水火葬が、一般的な埋葬法になる未来が来るかもしれません。

また水火葬以外にも、世界では、循環葬や堆肥葬(有機還元葬)といった新しい葬法が行われています。さらに今後、もっと環境や社会に配慮した葬法が開発される可能性も。10代にとっては、遠い未来のことではありますが、それでもいつかは必ず訪れる「死」。未来のため、埋葬法について考える良い機会かもしれません。

Text:Tommy

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ライター

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