「気になる10代名鑑」の486人目は、Sara Inoueさん(18)。英語を話す子どもたちのためのケアセンターでのインターンシップや、絵本を通して子どもたちを支える活動を行っています。Saraさんが活動を始めようと思ったきっかけや、実現したいビジョンについて、聞いてみました。
Sara Inoueを知る5つの質問
Q1. 現在行っている活動について教えてください
「子どものメンタルヘルスに関する活動をしています。具体的には、インターンシップで毎週土曜日に子どものケアセンターに行って、言葉の発達に遅れがあったり、シャイで発言をするのが苦手だったりする子どもたちをサポートしていたり、子どもが感じる孤独や不安を、ポジティブなものに変えていく絵本の作成をして、その読み聞かせもしています。
最初につくった絵本は、家族についての内容で、読売新聞の記事で紹介してもらったり、大学の研究発表で賞をいただいたり、多くの場所で評価を受けることができました。2冊目の構想もあって、幼稚園の先生の意見や子どもたちの反応を参考にしながら、性別についての固定観念を変えていくような絵本をつくろうと考えています」
Q2. 活動を始めようと思ったきっかけについて教えてください
「これまでに、4つの国で暮らしていたんです。その中で、世界にはいろいろな家族のかたちがあることを知って。例えば、お父さんがふたりいたり、お父さんが違う兄弟がいたり……。その経験から、家族の大切さを伝える活動をしたいなと思ったんです。
それとは別に、日本にはメンタルヘルスが身近にないということに気づいて。不安や孤独を抱える子どもに読み聞かせを通じて、子どものメンタルケアにつなげる方法を伝えていくというアイディアが生まれました」
Q3. 活動を通して印象的だった出会いはありますか?
「幼稚園で自作の絵本を読み聞かせをしたとき、園の先生から、絵本のサイズが小さいという指摘をもらったんです。けど、印刷をやり直すのはお金がかかってしまうので、どうするべきか悩んでしまって……。
そのとき、たまたま別の活動で出会った人に、悩んでいることを相談してみたんです。そうしたら、その人が印刷関係のお仕事をしている人で、『無料でやってあげるよ』と印刷を引き受けてくださったんです。
本当にありがたかったです」
Q4. 好きなものや、興味があることはありますか?
「人と話すことと、英語を使って活動をするのが好きなので、それを活かして、『TEDxYouth@Tokyo』という若者のための団体で、デザインチームリーダーとしての活動もしています。そこでは、イベントに来てくださったお客さんに配るグッズのデザインを考えたり、日本に住む高校生たちが自分の考えを共有し、絆を深めることができるようなイベントを企画したりしています。
また、これまで住んでいた全部の国でレッスンを受けたくらい、バイオリンが好き。活動とは直接関係ないように見えるけど、実はけっこう役に立っていて。子どもたちが音に敏感なのを活かして、注目してほしいときにはバイオリンを鳴らすことあるんです」
Q5. 活動を通して実現したいビジョンはありますか?
「気持ちが落ち込んだりネガティブになったりしても、それを悪いことだと捉えず、他人の評価を気にしないで自信を持つ人がたくさんいる……そんな社会にしたいです。
そのためには、子どものときからの道徳教育が重要だと思っていて。だから、絵本や人形などを用いた道徳教育を充実させて、他人だけでなく、自分にも優しくすることを教えるような活動をこれからもしたいと思っています。そういう教育を受けた子どもは、他人にも自分にも優しくすることができたり、自分自身に自信をもてたりして、学校でのいじめとかも減るのではないかと考えています」
Sara Inoueのプロフィール
年齢:18歳
出身地:東京都
所属:TEDxYouth@Tokyo
趣味:バイオリン、英語の本を読むこと
特技:英語を使って活動すること
大切にしている言葉:”Keep your mind a happy place”
Photo:Eri Miura
Text:Kanon Yoshizumi