Teen's Snapshots

心が弱った誰かの拠り所となる作品をつくりたい。トラウマを絵に昇華する美大生【純・19歳】

心が弱った誰かの拠り所となる作品をつくりたい。トラウマを絵に昇華する美大生【純・19歳】

気になる10代名鑑」の471人目は、純さん(19)美大で油絵を専攻しながら、コラージュと絵画を掛け合わせた作品をSNSに発表しています。精神的に未熟​​な「いま」だからこそ湧き出る感情をテーマに描いていると語る純さんに、創作に込めた思いや今後の展望についてうかがってみました。

純を知る5つの質問

Q1. プロフィールを教えてください

多摩美術大学で油絵について学びつつ、コラージュと絵画を組み合わせた作品を、InstagramやTwitterに投稿しています。

SNSで作品を公開し始めたのは、浪人することが決まったタイミング。受験のために、2日に1枚くらいのペースで絵を描いていたので、どうせなら記録のために載せてみようと思ったのがきっかけです。創作の調子がいいのか悪いのかが、いいねの数で判断できるので、いまも調子の指標として重宝しています

Q2. どんなことをテーマにして、創作活動をおこなっていますか?

被害妄想やトラウマ、嫉妬心といった、精神的に未熟ないまの自分だからこそ生まれる感情をテーマに描いています。このテーマに行き着いたのは、浪人生活中。いろいろな出来事で精神を病んでしまって、予備校に通えなくなったとき、内側から湧いてくる感情をぶつけたような絵を描くことで、精神の安定を保っていたんです。大学に入ったいまでも、このテーマがしっくりきているので、そのまま続けています。

作品に顔のモチーフが多く出てくるのは、自分のことについて描いているからちなみに、出てくる顔のほとんどが自画像です。個人的に顔は人間の魅力がいちばん詰まっているパーツだと思っています」

 

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​​​​Q3. 創作におけるこだわりを教えてください

これから先、かつての自分と同じように心身共に壊れそうな誰かが現れたとき、その人にとって拠り所になれるような絵を描きたいと思っています。そのためには、美術を詳しく知らない人にも、きれいで魅力的と思ってもらえる作品をつくる必要があると思っていて。まずは『絵』が目に留まって、そこからキャプションを読んで、最終的には私の作品に込めたテーマを知ってもらえるという流れが理想です。

魅力的な作品をつくるために、自分が描いていて面白いと感じられるかどうかにこだわっています。面白いかどうかは、コラージュをつくった時点でだいたいわかるんです。パッと見たときに描きたいと思うか、魅力的と思うかどうかが大事な判断材料です​​​​」

Q4. 創作をする中で苦悩することはありますか?

作品をつくるために、トラウマや嫉妬といった暗い感情に向き合わなければいけないことです。​​その感情に支配された状態で絵を描き続けるので、描いている最中にフラッシュバックが起きることもあります。

もちろんつらいですが、この過程は絵を完成させるために必要なプロセス。なので、負けないようにひたすらキャンバスに集中して筆を動かすように心がけています。本当に描けないときは、外の世界に向き合うために趣味のゴスロリを着て散歩をしたり、読書で他者の考えをインプットしたりして気分転換をしています。

とはいえ、この描き方は、わたしなりのトラウマ解消法でもあります。面白いことに、絵にすることで上手に感情を消化できて、日常生活の中でのフラッシュバックがなくなるんです。意識していたわけではないので、自分でも不思議です​​」

Q5. 将来の展望を教えてください

「自分のスタイルを見つけて間もないので、現段階では、自己に焦点を当てて創作を続けていきたいです。大学生活の中で、社会のつながりに目を向けた作品も生み出していけたらと思っています。​​

いまもっている感性が薄れていっても、絵を描くこと自体はずっと続けていきたいと思っていて。​​将来的には、歳をとることで生じる心境の変化に沿って作品をつくっていきたいです。いまよりもっと視野を広げて、一度見たら忘れられないような絵を生みだす作家になることが目標です

純のプロフィール

年齢:19歳
出身地:東京都
所属:多摩美術大学 絵画科 油画専攻
趣味:読書、ゴスロリ、趣味
特技:人の名前をすぐに覚える事
大切にしている言葉:「大事なのは、他人の頭で考えられた大きなことより、自分の頭で考えた小さなことだ」

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Photo:Eri Miura
Text:Mai Sugawara

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Mai Sugawara

ライター

2002年生まれ、東京都出身。青山学院大学 総合文化政策学部 在学中。Steenzには2022年6月より参加。学生ライターとして「気になる10代名鑑」のインタビュー記事執筆を担当している。

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