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空き家や耕作放棄地の有効利用にも!大きな可能性を秘めた陸上養殖に注目【Steenz Breaking News】

空き家や耕作放棄地の有効利用にも!大きな可能性を秘めた陸上養殖に注目【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、空き家や耕作放棄地の有効利用につながるかもしれない「陸上養殖」について、ご紹介します。

陸上養殖の海老を使ったハンバーガーが誕生

ハンバーガーチェーン「モスバーガー」から、5月24日に発売になった「エビマヨソースの海老カツバーガー(520円)」と「エビグラスソースの海老カツバーガー(520円)」。この2種類のバーガーのソースに、規格外で市場では販売できない、鹿児島県南九州市産の「白姫えび」が使用されています。

 

白姫えびの規格外品を殻付きのまま加熱し、煮込み、エキスを抽出することによって、強い甘みと旨味が特徴のソースに仕上がっています。規格外品を使用することによって、食品ロスの問題解決にも貢献できます。

さらに、この白姫エビは、近年注目されている「陸上養殖」で育てられたこともポイントです。

陸上養殖とは?

陸上養殖とは、陸上に、水産物を養殖する環境を人工的につくって、そこで育てること。海から海水を継続的に送り、飼育する「かけ流し式」や、ろ過システムを使用し、飼育水を浄化しながら循環利用する「閉鎖(循環)式」があります。

先ほど紹介した白姫えびは、閉鎖式で微生物集合体(バイオフロック)を活用し水質を維持する、「閉鎖式バイオフロックフロック養殖システム」を採用しています。

この陸上養殖、海の近くだけではなく、海から離れていてもOK。空き家や耕作放棄地を有効利用できるなどメリットの多いところも魅力であり、さらに環境負荷も少ないというのもポイント。

とはいえ、施設設備の維持費や電気使用量などのコスト問題、停電や機械のメンテナンスなど、トラブルが発生したときはリスクが上がる可能性もあるため、デメリットを理解たうえで、対策を考えて運営しなければいけません。

陸上養殖が温泉施設で?温泉サバって何?

海のない内陸部に位置する県でも陸上養殖を行っているケースも。「おふろcafe」をはじめとする温泉施設や、リゾート施設の運営、コンサルティングなどを行う株式会社温泉道場では、埼玉県児玉郡にある「おふろcafe 白寿の湯」の敷地内に、陸上養殖場を建設。2021年10月より、「温泉サバ陸上養殖場」をスタートし、2023年6月15日に完全養殖のサバが初出荷されます。

今回出荷するサバは、白寿の湯の「お食事処 俵や」にてお刺身として提供されたり、2023年1〜2月に行ったクラウドファンディングの返礼品になったりするそう。今後、温泉サバ陸上養殖場では、「海のない埼玉県で、最も海を近くに感じられる文化発信拠点」としての役割も担いつつ、海や海洋環境について学べる体験型コンテンツも企画するとのこと。

温泉サバ陸上養殖場の取り組みは、内陸部に位置する、そのほかの県の参考にもなるでしょう。内陸県で育った水産物が、食卓に並ぶことが当たり前になる日も、そう遠くはないかもしれませんね。

Text:Yuki Tsuruta

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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