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海の中で農業ができる時代に!イタリアで研究が進む水中栽培【Steenz Breaking News】

海の中で農業ができる時代に!イタリアで研究が進む水中栽培【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、イタリアで実験が進んでいる「水中栽培」をはじめ、陸地以外で農作物を育てる、新しい農業についてご紹介します。

イタリア北西部の海中で行われている水中栽培「Nemo’s Garden」

ダイビング用品を取り扱う会社「Ocean Reef Group」は、環境条件や経済的な理由により農作物を育てることが難しい地域でも、農作物をつくるための研究プロジェクト「Nemo’s Garden(ニモズ・ガーデン)」の実用化にむけて取り組んでいます。

 

「ニモズ・ガーデン」とは、海中に設置した温室で野菜や果物を育てる「水中栽培」のプロジェクト。イタリア北西部に位置する、ノーリ湾の海底で行われています。

光学レンズのような形をした軽量のプラスチックドームが水中に設置されており、その中は約2,000リットルの空気で満たされていて、酸素ボンベを外して作業することも可能です。そして、建物内に設置されたプランターで、バジルやレタスなどが栽培されています。

 

ドームには水耕栽培の装置や植物の種、空気循環用ファンが備わっていて、ソーラーパネルで駆動しています。また温度も一定に保たれているので、持続可能な生育に必要な環境が整っています。さらに、閉鎖的なドーム内には、寄生虫や昆虫もいないため、農薬も必要なく、100%オーガニックな農作物ができるんです。

世界中で起きている気候変動によるさまざまな影響

近年、ニモズ・ガーデンのような、陸地以外でおこなう代替農業システムが注目されており、その理由のひとつとして、気候変動が関係しています。

年々増加している、気候変動による異常気象。台風や干ばつなどの発生件数は、1970年から2019年の50年間で5倍近く増加しており、その影響は農業分野でも問題視されています。

例えば台風は、田畑を破壊し、農作物に被害を及ぼします。水不足が原因で起こる干ばつも、地面が干上がって農作物の収穫量が減少したり、砂嵐を引き起こしたりする恐れがあります。

これらの異常気象が頻繁に起きているため、「農業=淡水のある陸で行う」という従来の考え方だけでは、対応しきれなくなっているのです。そういった理由から、代替農業が注目されています。

日本では「海上農業」の実用化を目指す動きが

日本では、気候変動による海面上昇や塩害課題に取り組む海上建築のスタートアップ企業「株式会社N‐ARK」が、伊勢志摩で海上農業の実証実験を進めています。

この実験は、「株式会社CULTIVERA」と協力して、沿岸部に浮島をつくり、その上に「Green Ocean」と名づけた農園を建設します。M字型の特殊な屋根から雨水を取り込み、海水と混ぜ合わせ、phや稀釈率を調整することによって、農作物用の肥料をつくれるそうです。

これまで、カイワレ大根や水菜、トマトの栽培に成功しており、塩味を感じられるおいしい野菜ができたと話しています。そして、農作物の生産だけにとどまらず、海面下では藻類を栽培し、海中環境の改善にも取り組むそうです。

ご紹介した「Nemo’s Garden」や「Green Ocean」のような農業は、これからますます増えていくでしょう。環境や食糧問題の改善につながる技術が、増えることは良いことです。しかし、こうした研究や開発が進んでいる背景に、気候変動が含まれていることを忘れないようにしたいですね。

Reference:
The Project|Nemo’s Garden
The structure|Nemo’s Garden

Image:PRTIMES
Text:Yuki Tsuruta

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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