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ファッションを楽しみながら、気候変動とどう向き合う?「JAPAN CLIMATE CHALLENGE LAB 2023」をレポート。

ファッションを楽しみながら、気候変動とどう向き合う?「JAPAN CLIMATE CHALLENGE LAB 2023」をレポート。

去る3月12日(日)に外務省とSteenzがタッグを組んで開催した「JAPAN CLIMATE CHALLENGE LAB 2023」。今回は「ファッションと気候変動」をテーマに、ファッションを楽しみながら、気候変動という大きな問題に対して、どうやってアクションをしていけばいいか、専門家やゲストを招いたパネルディスカッション、サステナブルなファッションについてのトークショーなどを行いました。

オープニングムービーはYouTubeアニメで人気のファニムビが制作!

イベントの開会時刻、会場のモニターに映し出されたのは、地球と月をモチーフにしたキャラクター。「ちゃんちきゅ」と「つっきー」が、我が身に起こっている体調の変化について話しながら、実際に起こっている気候変動のリアルを面白おかしく伝えてくれました。

MCは四千頭身・都築拓紀さん!ゲストに韓国出身の人気インフルエンサーらんさん

ムービーが終わるとMC、ゲストが登場! 今回、イベントの総合MCを務めたのは、自他ともに認める芸能界屈指のおしゃれツウであり、Z世代からも絶大な人気を集める、お笑いトリオ・四千頭身の都築拓紀さん。

「単なるファッション好きな自分が、まさか外務省さんとお仕事する日が来るとは」と今回のオファーに驚いたそう。今日のスタイリングは都築さんの私服とのこと。

そんな都築さんといっしょに「なんだか難しそう……」な気候変動とファッションの関係について学ぶのは、韓国出身で人気インフルエンサーのらんさん。気候変動のことはあまりわからないけど、好きなファッションを通して来場者・視聴者の皆さんといっしょに明日からできる気候変動へのアクションについて、考えます!

らんさん

イベント冒頭では「そもそも気候変動ってなにが起こっているの? どれぐらいヤバいの?」という今更なかなか聞きづらい気候変動の基本情報について、国立環境研究所で上級主席研究員で東京大学教授の江守正多さんから解説。

対策をしていても上がってしまう地球の温度。現在、産業革命の以前と比べて、すでに1℃上昇してしまった地球の温度をなんとか1.5℃以内に収めようと、世界ではさまざまな取り組みがおこなわれています。江守さんから、ここ数年で日本国内で起こった台風や水害などの被害を踏まえて、これ以上地球の気温が上がると私たちの生活にどんな影響があるのか、迫る危機についてお話しいただきました。

すると、らんさんからは「地球の温度が5℃上がったら、冬ってどうなるんですか?」と質問が。江守さんによると、このまま気温が上昇し続けると、雪が降らない冬が来るかもしれないんだとか。

有名アパレル企業によるサステナブルな取り組みのプレゼンテーション

そんな江守さんからのレクチャーを経て、第一部のイベントがスタート! 第一部でおこなわれたのは、ファッション業界の最前線で気候変動問題と向き合うパネリスト7名を招いたパネルディスカッション。

まずは今回パネルディスカッションに参加いただいた3社それぞれが責任をもっておこなっている、気候変動に対する取り組みについてお話しいただきました。

たとえば環境問題と向き合う世界的先進企業の一つ、パタゴニア日本支社でアクティビズム・コーディネーターを務める中⻄さんによると、パタゴニアでは二酸化炭素の排出量を抑えること、再生可能エネルギーへの転換と促進、炭素を土に戻す、という大きく3つのアクションを実行していると話します。

また、着る人を中心に考えた服づくりをおこなう株式会社オールユアーズでは、リペア・カスタム、着なくなった洋服の回収と再販売、着なくなった洋服を原料に、新しい製品をつくる、という取り組みを実践してきたそうです。中でも、一人でも多くの人に興味を持ってもらえる仕掛けづくりにこだわっていると、代表の原さんは話します。駅で古着を回収する実験も、その一つです。

さまざまなブランドの新品をいつでも80〜30%オフの割安価格で販売するオフプライスストア。そんな国内のオフプライスストアのパイオニア、LuckRackを率いるゲオクリアの川辺さんからは、アパレル業界の余剰品にフォーカスした取り組みが紹介されました。LuckRackでは、累計で東京ドーム約91個分のCO2削減に貢献してきたそう。オフプライスストアの展開によって、アパレル業界の大量廃棄問題の解決に挑んでいます。

パタゴニア日本支社 アクティビズム・コーディネーター 中⻄悦子さん

それぞれの企業の取り組みを聞いて、Z世代からも意見や質問が飛び交います。

WWDでサステナビリティを担当する記者・木村和花さんは「これまでファッション業界はシーズンを気にすることが多かったけど、自分はあまりそうではない」というコメントが。これにはMCの都築さんも「僕も好きなものを着たいタイプで、流行りには疎いんですよね」と共感。若い世代の消費感覚は、流行よりも自分の好きなものに軸があるといえそうです。

WWDサステナビリティ担当記者 木村和花さん

また、服の大量廃棄から生じる環境問題を解決するために立ち上がった学生団体carutenaで代表を務める塩谷菜歩さんは「企業の取り組みで消費の選択肢が増えることで、誰もが手軽に気候変動のアクションができそう」と感じたそう。高くて手が取りにくいアイテムもあるけど、まずは身近なアイテムを長く着る、捨てるのではなく回収BOXに、などできることから始めていきたいと話します。

学生団体carutena 代表 塩谷菜歩さん

ここまでの話を聞いて、イベントの主催である外務省気候変動課を代表して、加藤さんは「さまざまな取り組みや若い世代の意見を聞いて、いまある選択肢はもちろん、これから生まれてくる選択肢の可能性もあることを感じました。少しずつ選択肢が増えることで、社会の変容に繋がっていければ」と振り返ってくれました。

議論は尽きませんが、そろそろお時間……ということで、第一部のまとめとして、らんさんに「明日からやってみる、気候変動への取り組み」をフリップに書いてもらうことに。ここまで熱心にお話を聞いてきたらんさんは、かわいい地球と動物のイラストを交えて「ふくをかんたんにすてるな〜」というアクションを発表してくれました!

都築×安斉×高橋3人のおしゃれ好きによるサステナブルなおしゃれトーク

続いて、第二部では「サステナブルなおしゃれは楽しい!Z世代ファッショニスタたちのトークセッション」と題して「気候変動に配慮しながらオシャレを楽しむって、実際どうすりゃいいの?」を語り合うコーナーがスタート。ゲストは、ファッションモデル、俳優としても活躍する安斉星来さん、高橋璃央さん。

「『気候変動』という単語を耳にすることは多いけど、ちゃんと向き合う機会はこれまであまりなかったかも」と語る安斉さん、高橋さん。この機会にいろんなアイテムに触れてもらいます!

このコーナーでは、4つの企業・ブランドによるサステナブルなアイテムを紹介。開発、創作に携わった担当者やデザイナーも登場し、ゲストが着用したり、履いたりしているアイテムに込められた背景を教えてくれました。

今回アイテムを提供してくれたのは、アップサイクルに取り組むANA、サステナブル素材を使用して履き心地を追求したスニーカーを生み出すAllbirds、リメイクによって一点物のアイテムを手掛けるSREU、服の染め直しサービスを提供している株式会社きぬのいえ SOMA Re:。

まさに、ファッションと気候変動に取り組む三者三様の取り組みを実践している企業・ブランドです。

ANAが紹介するのは、整備士の服をバッグにする取り組み。5年前に発案、そして会社に提案した高橋さんが登場し、開発の思いを話してもらいました。現在アイテムは人気すぎて購入できないそうですが、このアイテムを持ってANAの飛行機に乗ると、CAから声をかけてもらえるんだとか。

安斉星来さん

SREUはデザイナーの植木さんが登場。シーズンテーマは特に設けず、一点物のReady-made(レディメイド)をコンセプトとし、古着・レースをキーワードにコレクションを製作しているSREU。古着屋さえ買い取らないような古着をリメイクし、アイテムを製作しているこだわりを聞いて、ゲストの二人も思わず驚き。

メンズノンノモデル 高橋 璃央さん

Allbirds、株式会社きぬのいえ SOMA Re:はアイテムと共に、メッセージが届けられ、作り手としての想いを都築さんが代読しました。

イベントも終盤。今日のイベントの感想について都築さん、安斉さん、高橋さんに聞いてみると「染め直し、やってみたい!」「おさがり着ることもサステナブルだよね」「サステナブルなアクションってけっこう身近で、意外とやっていたのかも」というコメントが。

総合MCを務めた都築さんは「最初はファッションと気候変動にどんな関係があるのか知らなかったけど、意外と関われる角度がある。今回はファッションだったけど、それぞれの好きなものから気候変動を考えることもできそう」とイベントを振り返ってくれました。

Steenz編集部セレクト!サステナブルなファッションアイテム

また、会場にはSteenz編集部がセレクトしたおしゃれでサステナブルなアイテムを展示するスペースも用意しました。一口にサステナブルといっても、アップサイクル、染め直し、リメイクなどさまざまなアプローチがあります。

イベントに来場した皆さんが、実際にアイテムを手に取っていただくことで、ファッションの多様性と、アイテムに込められたブランドの想いを知っていただきました。

余剰糸や寄付糸を一部使用して製作した、LOVE IT ONCE MOREのストール

イベント全編はYouTubeで公開中!

大盛況のうちに幕を閉じた、JAPAN CLIMATE CHALLENGE LAB 2023。イベントの様子は外務省気候変動課の公式YouTubeチャンネルでご視聴いただけます。見逃していた方はぜひ、ご覧ください!

 

JAPAN CLIMATE CHALLENGE LAB 2023 〜ファッション×気候変動〜気候変動問題を、難しいものではなく、身近な事柄として捉える為に開催した昨年のイベントに大きな反響をいただき、今年も開催するwww.youtube.com

 

展示にご協力いただいたショップ・ブランドの皆さま(アルファベット順)

Allbirds全日本空輸株式会社BÉBÉFORTUNALOVE IT ONCE MORE株式会社きぬのいえ SOMA Re:SREUSyncsEarth学生団体carutena

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Steenz編集部

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