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フィンランドでトランスジェンダー改正案が可決!自己申告のみで性別変更が可能に

フィンランドでトランスジェンダー改正案が可決!自己申告のみで性別変更が可能に

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今回は、フィンランドで可決されたトランスジェンダー法についてご紹介します。

フィンランドでトランスジェンダー法の改正。変更点は?

フィンランド議会は2月1日、トランスジェンダー法の改正案を可決しました。これにより、フィンランドのサンナ・マリン首相(36)が掲げていた公約のひとつが実現されることになりました。

以前の法律では、法律上で性別変更をおこなうには、不妊要件(生殖腺や生殖機能がないことの証明)や医師による診断書が必要でしたが、今回の法改正によって、性別変更の要件が大幅に緩和され、18歳以上であれば自己申告で変更が可能になります。

欧州では、自己申告による性別変更が可能な国が増えており、2022年の12月にはスペインでも法案が可決され、大きな話題を呼びました。

マリン首相はレインボーファミリーで育った

世界最年少の女性首相としても注目されているサンナ・マリン首相は、母親とその同性パートナーの「レインボーファミリー」で育ちました。

 

 

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「レインボーファミリー」とは、ひとり親家族や同性のパートナーなど、4つの「異なる家族の形」を包括した言葉で、社会保険庁をはじめ、フィンランドで公式的に使われている言葉です。

2022年に開催された、セクシュアル・マイノリティのパレードイベント「レインボープライド」でも、猛暑の中でパレードの最前列を笑顔で歩くマリン首相の姿が話題になりました。

フィンランドで、法律婚とほぼ同等のパートナーシップ登録が可能になったのが2002年、婚姻法が施行されたのが2017年であることを考えると、1985年生まれのマリン首相は、LGBTQ+の人たちの権利獲得や理解が進んでいなかった時代から現代に至るまで、激動の時代を牽引している首相といえそうです。

ジェンダーとセットで覚えたい言葉「プロナウン」について

こうしたトランスジェンダーの平等に向けた大きな前進となるニュースとあわせて、覚えておきたい「プロナウン」についても説明します。

プロナウン(pronoun)とは、日本語で「代名詞」を意味する単語で、「私(一人称)」「あなた(二人称)」ではなく、「彼」「彼女」などジェンダーが関わってくる三人称についての言葉です。InstagramやTwitterのプロフィールに、「he/she/they」などの言葉が書かれているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。

自認するジェンダーが、男女という枠に当てはまらないノンバイナリーの人は、「they/their/them」という代名詞を選択することが多いです。日本の英語教育では、主に複数形の「彼ら」として習うので、個人に「they」という代名詞が使われるのを不思議に思うかもしれません。しかし、これは性別を男女に限定しない三人称の言葉として個人にも使える言葉なのです。

これは、自分のジェンダーアイデンティティ(性自認)を自分で決めるのと同様、第三者が誰かを指すのに使う代名詞も、その人自身で決めることができるという考えのもとに広がっています。

過去には、カナダ出身のシンガー・ソングライター、ショーン・メンデスさんが、同じくシンガー・ソングライターのサム・スミスさんを紹介する際に誤って「he」を使ってしまい、SNS上で謝罪したこともありました(ノンバイナリー・プロナウンはthey)。これに対しサムさんは「一緒に学んでいこう。素敵な休日を」と優しいメッセージを返しました。

性別変更も、代名詞も、大切なのは、「自分の意志で決められる」という点。「自分自身のジェンダー」は自分で決めていいはずですから。

Text:Kei Hayashi

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Kei Hayashi

ライター

1997年まれ。2020年〜新卒でフリーライターに。興味関心:Z世代・メンタルヘルス・ジェンダー・消費社会 など。獨協大学外国語学部英語学科卒業。he/they。

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