Steenz Breaking News

和歌山で生まれる「紙の糸」がアツい!機能性もバッチリなサステナブル素材なんです【Steenz Breaking News】

和歌山で生まれる「紙の糸」がアツい!機能性もバッチリなサステナブル素材なんです【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、牛乳パックを再生して生まれた「紙の糸」について、ご紹介します。

靴下やワイシャツにもなる!牛乳パックからできた糸

「紙の糸」というのは、実は日本古来よりある伝統的な素材で、その歴史は奈良時代からとも言われています。その多くは麻でつくった専用の紙からつくるのが主流ですが、サステナビリティの観点から、再生紙を活用する動きに注目が集まるものの、なかなか実現されませんでした。

そんななか、和歌山県和歌山市のニット機械製造・販売メーカー、島精機製作所は、原材料に牛乳パックの再生紙を用いた糸「REPAC™」を開発。さらにサステナブルブランド「ReMateri®」を展開し、靴下やタオル、ワイシャツなどを販売しています。

 

こうした素材をつくるだけでなく、循環サイクルの取り組みも実施しており、県内の田辺市立高雄中学校の生徒と協力し、1か月間で7,500枚の牛乳パックの回収もおこなっています。

再生紙から生まれた糸の機能性

牛乳パックというのは、再生紙をつくるには、とてもよいリサイクル原料。表面に防水加工が施されていますが、それを剥がすと新品の紙に近い状態になり、直接印刷がされている古紙を使用するより、質の良い紙ができるのです。

しかし糸となると、「水に弱そうだけど洗濯は大丈夫?」とか「引っ張ったりしても平気?」など、機能的な部分が気になる人もいるでしょう。

しかし、もともと紙というのは、吸水性や通気性が良く、水に濡れても乾きやすい素材。またサラサラとした感触のため、その優しい肌ざわりも魅力でしょう。さらに抗菌・防臭効果にも優れていて、この「紙の糸」は、実は機能性が高いのです。

 

「間伐材」や「端材」から紙糸をつくる企業も

最近では、牛乳パック以外にも、さまざまな素材を使った紙糸が登場しています。同じく和歌山のmotomoto株式会社では、紀州の間伐材や端材から紙をつくり、そこからうまれた糸で帽子をつくるプロジェクトを実施。

 

「間伐」というのは、過度に密集した木々を間引く作業で、土砂災害を防ぐために欠かせません。しかし、林業の後継者不足や、近年では輸入物が増えて、国産材の使用量が減ってきていることから、こうした間伐材のアップサイクルというのは、注目されている分野なのです。

こうした課題の解決を目指すひとつの取り組みが、この紙糸でできた帽子。紀州材の原料であるスギやヒノキは、針葉樹のため繊維が長く、強度のある糸がつくれるのです。

今回ご紹介した紙糸のように、廃棄されるはずだった素材を活用する取り組みは、ますます広まっています。その裏側に込められた思いや向き合っている課題についても、あわせて注目していきたいですね。

Text:Yuki Tsuruta

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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