Steenz Breaking News

タイでドンキが続々オープン!日系百貨店が撤退する中で拡大する理由とは【Steenz Breaking News】

タイでドンキが続々オープン!日系百貨店が撤退する中で拡大する理由とは【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、日本の総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」のタイ国内での人気が広がっているというニュースについて、ご紹介します。

タイで「ドンドンドンキ」の7号店がオープン

タイの人たちで混み合う「ドンドンドンキ」の店内

東南アジアのタイでは、1月23日に、商業施設「ドンドンドンキ」の同国7号店がオープンしました。タイでは過去数年、日系百貨店が撤退する傾向にありましたが、一方でドンキは出店数を順調に伸ばしています。その躍進の理由は何なのでしょうか。

日本産の果物や海鮮品が人気

ドンキお馴染みの「手書きポップ」も健在

この「ドンドンドンキ」は、「ドン・キホーテ」の海外ブランド。2019年に首都バンコクにタイ1号店がオープンして以来、現在のタイの店舗数は、新店舗を含めて6店舗となっています(2020年4月に開業した2号店は閉店)。

ドンドンドンキの特徴は、日本産の食品や惣菜を豊富に取りそろえていること。これが、日本食の人気が拡大しているタイで、ニーズを捉えているのです。なかでもイチゴやシャインマスカットなどの果物、寿司などの海鮮品、そして日本のドンキの店舗でもお馴染みの焼きいもが人気です。

また、日本旅行をしたときに、ドン・キホーテで買い物をするタイ人も多いことから、タイにいながらして、日本に旅したような気分を味わえることも、人気の理由のひとつとなっています。

25年6月までにさらに6店舗出店へ

運営会社のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が22年8月に発表した「2022年6月期決算業績説明資料」では、タイでの事業について、「上期は外食の代替需要を獲得し売上伸長。今後はその反動減を見込むが、夜間売上の確保や物販飲食の拡大をめざす」としており、食品販売事業が順調に推移していることを説明しています。

さらにドン・キホーテの人気は、タイだけに留まりません。同月に発表した中長期経営計画では、25年6月末までに、アジアで新たに34店舗を出店し、64店舗体制とする方針を発表しました。タイでも、さらに6店舗を新たに出店する計画です。

地場企業との競争激化、伊勢丹など撤退も

タイではこれまで、日系の商業施設が複数進出していますが、伊勢丹は2020年、東急百貨店は2021年に撤退しました。理由として、現地企業の商業開発増加による競争激化や、新型コロナウイルス感染症に伴う外出制限で、経営環境が厳しくなったことが指摘されています。

また、タイの小売業界関係者は地元紙に対し、「地場の商業施設は1年を通してプロモーションを展開しているのに対し、日系の商業施設は装飾が地味で、プロモーションも頻繁に行っていない」として、タイでの人気が低下した理由を分析しています。

 

 

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実際、タイで人気を集めている商業施設は、シーズンごとに華やかな店内装飾が施され、大規模なイベントやプロモーションが開催されることが多いのです。その点では、日本の百貨店は、タイの人々に物足りなく感じる側面もあったようです。

今後もタイでは、複数の商業施設の開発計画が進んでおり、地場企業との競争がさらに激化することが予想されています。日本を含めた外資ブランドの商業施設が生き残るには、地場の商業施設との差別化がより求められてきそうです。

Reference:株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス Visionary 2025/2030 中長期経営計画

Image&Text:Risako Hata

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Risako Hata

ライター

タイ在住のジャーナリスト。共同通信系メディアにて5年のタイ駐在を経て独立。現在は、アジアの経済や人道問題、SDGsに関連する記事を執筆。

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