世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アメリカ・ニューヨーク州で2024年より施行される「ペット販売禁止」についてご紹介します。
ニューヨーク州で「ペット販売禁止」に
2022年6月、ニューヨーク州で、ペットショップで犬・猫・うさぎの販売を禁止する「パピーミルパイプライン法案」が可決されました。施行は2024年12月を予定しています。
アメリカではすでに、カリフォルニア州やメリーランド州、イリノイ州といったいくつかの州で同様の販売禁止措置を施行していますが、アメリカでもペットショップの多いニューヨーク州での禁止措置は、特に大きな話題になっています。
アメリカ全土で進みつつあるペットの販売禁止。その背景には、法案の名前にもある「パピーミル」の取り締まりがあります。
あまり聞き馴染みのない言葉…「パピーミル」とは?
「子犬工場」「子猫工場」とも訳されるパピーミルは、利益優先で、犬や猫などの動物を工場のように大量繁殖させるビジネス市場のこと。
米国人道協会によると、アメリカ国内のパピーミルの件数は推定1万件。そのなかには、農務省の許可を得ていないブラックマーケットが多く存在します。食事や健康面における十分なケアを怠ったり、虐待したりしている悪質なブリーダー(繁殖業者)も数多くいるため、動物福祉の観点から問題視されており、そういった背景が、この法律の施行につながっています。
今後は、ペットショップでの販売は禁止になるものの、ブリーダーから動物を直接購入することは可能です。動物福祉の面において信頼のおけるブリーダーかどうかという視点が、ペットショップを介在しないぶん、さらに重要視されていくことでしょう。
またこの法律には、動物保護団体やシェルターからペットを迎えることを促すという意図も。ペットショップは、保護団体と提携し、引き取り活動に関わる機会が設けられる予定です。
日本のペット販売の現状
ペット販売の規制や動物福祉を喚起する動きは、日本でも進んでいます。
2021年6月からは、「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」によって、生後8週間以内の犬猫の引き渡し・展示が規制されました。生後間もない段階で親や家族と引き離された犬や猫は、人を噛んだり、他の犬と仲良くできなかったりなどの障壁を経験することが多く、飼育破棄の一因になっているのです。
また、ブリーダーやペットショップで販売される犬猫に対しては、マイクロチップ登録も義務づけられるようになりました(既にペットを飼っている場合は努力義務)。 これによって、飼育放棄の防止や、ショップで売れ残った犬猫に対しての、より適当な対応が期待できます。
今後も世界中で注目を集めていくことが予想される「動物福祉」。ペットの購入を考えている人だけでなく、あらゆる生き物と共存して生きているわたしたち全員が向き合っていくべき問題ともいえそうです。
Reference:
Prohibits the sale of dogs, cats and rabbits by retail pet shops; authorizes space for adoption|The New York State Senate
Stopping Puppy Mills|The human society of the united states
動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律|環境省自然環境局
Text:Kei Hayashi